誘拐されてメイドになれと言われた【JN】６ (ページ3)

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２３５．久しぶりの家ページ3

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「…ただいま～？」

「おかえりなさいませ。」

時刻は19:00。

スーツケースを引き摺って開けた屋敷の扉の先、Aかと思ってちょっと期待したけど…なんだ、ハヨンか。

「Aは？」

早速口から出るのはAの名前で、自分で言ってまた呆れた。ハヨンはちょっと笑いそうになって部屋にいますよって優しい声で言った。あ、恥ずかしい。笑われかけた。

すぐにでもAの部屋に行こうかと思ったけど、ダメだダメだ、Aはジョングガの恋人。それに話があるってジョングガにも言われたじゃないか。先にそれを済ませなきゃ。

それなりに疲れていたけど、家に帰るとなんだか少し安らいだ。

「…ヒョン、おかえりなさい！」

階段からひょこっと顔を出したのは可愛い弟…ジョングガ。いくらライバルといえどやっぱり可愛いものは可愛い。見ない間になんか末っ子感増した？

「ああ、ただいま。…お！ありがとう。」

どことなく嬉しそうに駆け寄って来たジョングガは僕の荷物を軽々しく奪って階段を上がろうとした。あれ…それ結構パンパンで重いはずなんだけどな…やっぱり可愛いのは見た目だけかも…。

…だけどどうしてそんなに嬉しそうなのかな。もしかしてAをフィアンセにするとか。…ああ、そういうことなのかも。

なんとなく確信を得てしまった僕。悲しいけど喜ばしいことか…なんて勝手に納得してたその時の僕は、ちょっぴりバカだった。

「Aと僕は、付き合ってません！」

「……え？」

部屋に入り一息つくなり、ジョングガが僕に向き合って唐突にそう言い放った。…今、付き合ってないって言った？

ぽかん、としている僕を端にジョングガはやっと言えたーって胸を撫で下ろしてた。ちょっと待って、まだ僕理解してない…

「付き合ってなかったの、？Aと？」
「はい、付き合ってませんでした。嘘ついてすみません。」

申し訳なさそうに笑った彼はぺこりと頭を下げる。はっきりと彼の口から伝えられた「嘘」についての謝罪が、ゆっくりと頭に溶け込んでいった。

「あの時咄嗟に出ただけなんです。Aを守りたくて…ヒョンをAから遠ざけたくて。たくさん酷いことも言って…本当に、ごめんなさい。」

ゆっくりそう続けるジョングガの言葉を、ただ淡々と聞いていて。

僕は下げられたままの頭を、わしゃわしゃと撫で回した。

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