２１９．残酷な天秤 ページ30
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「ぐ、く…？」
「もうヒョンを想って泣かないで。ヒョンのことなんて忘れてよ。なんで…なんでジンヒョンなんだよ…っ」
彼女の温もりを感じてしまえばもう想いも止まらなくてどんどん口から零れていく。こんな惨めな本心が、Aにはどう聞こえているんだろう。
甘い香りが目前に迫って余計に胸が苦しくなる。
「あの人のことなんて信じないで…頼むよ……」
「グク…い、いたい、」
そんな弱々しい声も無視した。正確に言えば、今の僕には聞こえていなかったんだと思う。
Aの乱された服を見て、痛々しい生傷を見て、そんなAの姿にショックを受けて。
僕は冷静さを欠いていたんだ
「君を殺そうとしてるっ…食べようとしてんだよ、！」
「…え？」
気付いたら言いたくもないことまで口走ってた。Aを想って、想い過ぎて。守ろうとして後先考えずに出た言葉は残酷で、途端にジンヒョンとA、二人を裏切ったような罪悪感に苛まれた。
そして間違いなく僕は、酷く彼女を傷付けた。
「そんな、わけ……さっきはお酒のせいでっ…」
「っ……」
ぐっと僕の胸を押し返したA。信じたくないような顔で必死に言葉を紡いで、そこで言い詰まった。
何度も瞬きしたり、まつ毛を伏せたり。動揺を隠せない様子のAは少しの沈黙の後、恐る恐る僕を見上げて、怯えた目で尋ねた。
「うそだよね？」
ここで嘘だと言ったら、Aの心は救われるかもしれない。
余裕のない僕は迷ってしまった。
それは紛れもなく、Aを愛しているから。
二つを天秤にかけた。Aの心か、僕の心か。
「…おねがい、守らせてよ」
結局、自分のことしか考えてない最低なヤツなんだよ。
僕は、ヒョンもAも裏切った。
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ろーらん?(プロフ) - ぽちさん» ぽちさん初めまして！コメントありがとうございます；＿；とても嬉しいです！私もハッピーエンド信者なので皆がハッピーな終わり方にしたいなと…。とにかくたのしみにしていてください！笑応援ありがとうございます！；＿； (2019年9月16日 13時) (
レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - こんにちは☆グクさんの役回りが切なすぎるけれど…ついつい望んでしまうのはジン様のとの明るい結末なんです///ステキな作品なので終わって欲しくない気持ちもありますが…更新がんばってください☆(語彙力足らずにて失礼いたします) (2019年9月16日 11時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろーらん | 作成日時：2019年7月20日 10時
