２１８．溢れてしまった ページ29
NJ side
そういうことです、と一言漏らし、Aちゃんを連れて行ってしまったジョングガ。
全て察した気がした。
怒りに満ちたジョングガの表情に、乱されたAちゃんのネグリジェ、肩にかけられたジョングガのカーディガン。
何よりの証拠が、Aちゃんの首にある、痛々しく生々しいその傷だった。
「ヒョン……」
「……」
乱雑にばら撒かれたジャケットとネクタイ。ソファの上で意識のないヒョンは多分もう夢の中。酒にやられて奇行に走ったヒョンを、ジョングガは許すだろうか。
「そんなんじゃ…ヒョンもそいつと同じじゃないですか…」
無理矢理襲ったんだと、この状況から汲み取って。
アルコールのせいとはいえ、これは謝らせないといけないな。
JK side
「ごめん、もっと早く気付いてれば…」
「へいき……助けてくれてありがとう、」
ジンヒョンが正気じゃなかったことくらい、すぐわかった。そのせいで理性より本能が勝った。それだけだ。ふわっと香ったお酒の匂いはヒョンには珍しくて、でも僕には、ヒョンがそうやってヤケ酒をする理由が…なんとなくわかる気がしてた。
「っ…、」
「痛い？」
「大丈夫……」
連れ込んだのは僕の部屋。
傷を優しく拭って、消毒液を染み込ませたガーゼをぽんぽんとあてがえば、Aの顔は痛みに歪んだ。正直、Aの血の濃い匂いに僕も気が狂いそうだった。薬の力を借りてでも食欲を抑えて…絶対Aを食ったりなんかしないって、決めたから。
「他には、何かされた？」
「……キス、した」
そう呟くAの目は潤んでた。
「…嬉しかった？」
「………こわかった、」
涙ぐんだ声に、胸が締め付けられて痛い。嫉妬もした。でもそれ以上に悔しかった。
ジンヒョンが噛み付いたであろうその傷口にガーゼをあてがい、包帯を巻いて固定して、とりあえず処置は終えて。ありがとうと呟くAの様子は目も当てられないくらい弱っていたと思う。
そんな彼女に、僕は、想いを抑えられなかったんだ。
「ヒョンなんか、やめろよ」
「…え、」
いつか食われてしまうのではないかという不安。Aがいなくなるかもしれないという恐怖心。失いたくないと思う心。全部が全部をダメにした。
「僕のこと好きになればいいのに…っ」
僕はAを抱き締めていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 579人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろーらん?(プロフ) - ぽちさん» ぽちさん初めまして！コメントありがとうございます；＿；とても嬉しいです！私もハッピーエンド信者なので皆がハッピーな終わり方にしたいなと…。とにかくたのしみにしていてください！笑応援ありがとうございます！；＿； (2019年9月16日 13時) (
レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - こんにちは☆グクさんの役回りが切なすぎるけれど…ついつい望んでしまうのはジン様のとの明るい結末なんです///ステキな作品なので終わって欲しくない気持ちもありますが…更新がんばってください☆(語彙力足らずにて失礼いたします) (2019年9月16日 11時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろーらん | 作成日時：2019年7月20日 10時
