恋しい非日常 (ページ15)

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U side

あまりにも優しい顔で「もちろん」なんて言うから、甘えて作業に没頭してしまった私。

遅くならないようにと気を遣っていたのに、人の顔にメイクを施すことが…これほど楽しいことだとは。

当たり前だけれど自分の顔にするのとはメイクのりも違うし、仕上がりも違う。

メンズ用のメイクだから自分には似合わなくていつも違和感があったから、今日のこの体験は本当に、貴重だった。

『すみません、遅くなってしまって…』

21時に終わらせる、なんて言ったくせにヘアメイクを終えて見た時刻は22時を過ぎていて。

途端に申し訳なさが込み上げてきた。

JK「いえいえ…楽しかったですし！それにスタイリングもすごく素敵でした！」

彼はメイクが終わるなり、私が仕上げたスタイルをずっと褒めていてくれた。
確かに今日のは自信作で、彼にもよく似合っていたけど。

今からメイクオフして片付けとなると、まだ少し遅くなりそう。

さすがに片付けまで付き合わせられない…

JK「あ…写真撮ってもいいですか？」

『！…もちろん。撮りましょうか？』

JK「お！お願いします！」

彼のスマホを受け取って、外カメを向ける。
背景がイマイチだったから、白い壁の前に立ってもらってからまたカメラを向けた。

JK「服がちょっとあれですね。衣装があったら…」

メイクがもったいないと笑うのが素敵で、ついシャッターを切るボタンを押した。

『私服でも素敵ですよ』

お世辞でも何でもなかった。
カメラ越しに見える彼の笑顔は本当に素敵で、可愛らしい顔をしたかと思えばころっと表情を変えて。

直接見られているわけじゃないのに、彼の黒い瞳がとても綺麗で、なんだかドキドキした。

さすがアイドルだなあ、表情を作るのがとても上手だ。

『…すごくいい感じです』

スモーキーな目元のメイクに、少し色付いたリップ。
ジェユンさんの唇の形が綺麗だったから、ほんの少しだけ赤を足して、薄くグロスを重ねたリップメイクをしてみたんだ。

どうやら正解だったみたい。

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