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JK side
開いた扉の内側から姿を現した、彼女。
いっぱいいっぱいになって呼んだ僕の声で、彼女が視線を上げ僕の顔を見た瞬間、ぎゅうっと胸が苦しかった。
言いたかったことも全て白紙になった。
気が付いたら、体が勝手に動いていたんだ。
ドアの間をすり抜けて、ここが彼女の領域であることにも構わず、僕はぐっと体を寄せていた。
Aヌナの感触、香り。彼女の全てが今ここにあって。
「…っ、…!」
キスなんて、咄嗟にその慣れない行動に出てしまったのは、きっと僕の中で何かが弾けたからだ。
重なる唇は少し震えていて、ちょっと逃げたそれを追いかけるようにまた塞いで。
ヌナの両頬を包むように添えた僕の手も、本当は震えていたのかもしれない。
JK「…ッ、ヌナっ…」
そして、そっと離れる距離。触れていた唇から上へ、彼女の瞳を見つめれば、Aヌナもまた僕の目をじっと見上げていた。
少し赤くなった目…睫毛は濡れて束になり雫を纏っているようにも見えた。
泣いてたんだ、直感的にそう思った。
「ジョングク、く……」
やっと彼女が口を開いた時、彼女の声で僕の名前を呼んでくれた時、僕は堪らずその体を抱き締めた。
___すっぽり収まってしまう細い肩、薄い腰。消えてしまいそうな儚い雰囲気は何一つ変わらない。
JK「…嘘つき、ヌナの嘘つき……」
「ぁ…ご、めんなさ、」
違う、僕が、僕が言いたいのはそんなことじゃないんだ。
彼女を前にしてこんなに取り乱す心の内は、ずっと閉じ込めてきた想いを上手く口にすることが出来なくてもどかしい。伝えなくては。ヌナの気持ちも、聞きたいんだ
整理ができないまま、僕はゆっくりと口を開く。
JK「好きです、Aさん。
…探したんですから」
大好きな香りのするその肩口に顔を埋めながら、僕は耳元でそう囁いたのだ。
「っ……う、…ふっ………」
彼女は僕の言葉を聞いて何も言わず、ただ小さく声を漏らしながら、僕の胸の中で泣いていた。
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Laurent(プロフ) - ミカさん» お待ち頂きありがとうございます;_; 更新頑張りますのでこれからもよろしくお願い致します…! (2021年5月16日 2時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 待ってました。良かった。 (2021年5月13日 18時) (レス) id: 14f1a948cb (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - ミカさん» お待たせ致しました〜〜!!;_;コメント沢山頂いていたみたいで…この作品を長く愛してくださってありがとうございます。引き続きよろしくお願い致します…!! (2021年5月10日 1時) (レス) id: 7c8a826f9a (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 続き気になりすぎてます! (2021年3月7日 21時) (レス) id: 803e2a4328 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 描くのやめちゃったんですか?待ってます! (2021年1月14日 22時) (レス) id: 3d21976f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Laurent | 作成日時:2020年6月10日 23時