:104 ページ6
U side
帰宅して真っ先にシャワーを浴び楽なTシャツとショートパンツに着替えると、私はフラフラとベッドに身を投げた。
帰り道、ユンギに送ってしまったメッセージ。やっぱり言うべきではなかったと今更後悔した。
言葉にした自分の正直な気持ちが苦しすぎて、瞬間に溢れ出した涙はまるで堰を切ったように際限を知らず、
泣きやめ、泣きやめと息を止めて歯を食いしばって…なんてしていたら喉も頭も痛くなって。
…随分と体力を使ってしまった。
仰向けに見上げた天井は現実。だけど先程までのことは夢のように思えてしまう程、私には非現実的だったのだ。
つ、と目の端から零れたそれがこめかみを流れる感覚。もう嫌と言う程泣いたんだけどな。
これでよかったはずなのに、こうするほかなかったはずなのに、意志とは反対に溢れてくる涙が恨めしくて仕方ない。
でも……嬉しかった
彼が同じ気持ちでいてくれたこと
「ふ………うぇ…っ……」
私の嗚咽だけが部屋に響く。
もう、彼のことで泣くのは最後にしなくちゃ……
枕に顔を埋めた、その時。普段から聞き慣れない部屋のベルが、珍しく鳴り響いた。
全く予知しておらず突然鳴ったその音に少しびくっとして、思いがけず涙も引っ込む。
来客…?誰だろう…いや、何か頼んだっけ。
何だか今は自暴自棄で、自分が酷い顔をしているであろうことにすらもう関心が無くなっていた。
重い体を起こし玄関前まで行くと、私は何も考えずそのまま扉を開け放ったのだ。
「はい、」
扉の先、広がっていく隙間から見えた足元は、男性物のスニーカーだった。
「…Aヌナ」
「………ぁ、」
降ってきた声。その瞳と目が合った瞬間。私はまた夢でも見ているような気分になった。
JK「______っ、」
涙が浮かんだようなきらきらした目をくしゃっと細めて、唇を噛んだ彼。
全てがスローモーションのように見えて、
次の瞬間、私は包み込まれて、唇に柔らかな感触を感じたんだ。
・
1188人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Laurent(プロフ) - ミカさん» お待ち頂きありがとうございます;_; 更新頑張りますのでこれからもよろしくお願い致します…! (2021年5月16日 2時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 待ってました。良かった。 (2021年5月13日 18時) (レス) id: 14f1a948cb (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - ミカさん» お待たせ致しました〜〜!!;_;コメント沢山頂いていたみたいで…この作品を長く愛してくださってありがとうございます。引き続きよろしくお願い致します…!! (2021年5月10日 1時) (レス) id: 7c8a826f9a (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 続き気になりすぎてます! (2021年3月7日 21時) (レス) id: 803e2a4328 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 描くのやめちゃったんですか?待ってます! (2021年1月14日 22時) (レス) id: 3d21976f0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Laurent | 作成日時:2020年6月10日 23時