JKの邂逅【utit／nrs】

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「ごめ！まった？」


「んーん。A、クラスの方大丈夫なの？」


「うん！私のシフト午前だし！」


先言えよ。


俺の中の妄想メイド服Aが、音を立てて崩れていく。てか、午前なら行きたかった。カラオケ男だけが接客してもらったってことっしょ？無理すぎ。


「ちなみにAのクラスの出し物ってなんなの？」


「人生迷路！！」


A曰く、"人生は選択の連続"をテーマにした迷路らしい。まさかの引き返しなし。行き止まりを選んでしまったら、そこで失格となるらしい。


Aはずっと受付でスマホを弄っていたらしい。働けよ。バカ娘。


「お腹すいたね？！まずは腹ごしらえじゃ！」


あの日とは打って変わって、構内をしっかりと把握しているAについて行く。目指すのは軽食を提供している部室ゾーンらしい。


陸上部プレゼンツ！足が早くなるギョーザ！！
バスケ部男子の汗で揚げました！唐揚げ！
新体操部女子のりんご飴
バレー部女子が捏ねた♡お饅頭♡♡
キンキン！？サッカー部男子が作るアイス
マジでプロいお好み焼きやで


お好み焼きに関しては何部だよ。てかエセやめろ。高校生らしいアホっぽさと地味にクオリティの高い商品写真のギャップにやられそう。客にまじぃもん食わせられないという心意気を感じる。真面目だ。腐っても進学校なんだよな、ここ。


「私試食で死ぬほど食べたからな〜どーしよ！」


「A〜ここどーよ！唐揚げ！」


「お前らの汗は食べたくないかも〜」


「Aちゃん！りんご飴はいかが？」


「今甘いもんの気分じゃないからごめーん」


「ギョーザどーよ！！！足早くなるぜ！！！」


「かがくてきこんきょが無いと私信じらんな〜い」


もしかしてコイツ、かなりの陽キャか？


歩いているだけで至る所から名前が呼ばれる。その度に肩身が狭いよおじさん。どうしよ泣ける。


「ちょ、Aさんよ。ちょっと人気者すぎじゃないですかね？」


「んぇ？そ？名前だけでしょ！バンドのボーカルってマジで名前だけが独り歩きしてくんよね」


少しだけ近づいて、「私あの人たちのお名前全然わかんない」って耳打ちされる。知らない相手であれば塩対応を決め込みそうな正直者だが、割とにこやかに対応している。だから、まだマシか…俺だってリスナーの殆どを認知していないし。いや、けどそれはネットを介しているからであって…う、うーーん。


「私サンドイッチにする！」

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