episode.7 ページ7
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「…ということがありまして。」
「へー！なんかそういうの、ええな。
俺も経験してみたいわ〜」
俺が話し出すと康二は興味津々に聞いてくれた。
ちなみに人が増えてきたので、退散して今は車の中。
遠慮されたけど押し切って俺が運転してます。
「なんかそれってさ、"運命''やない？」
「えっ」
反射的に出た声は裏返った。
YouTubeの撮影じゃないんだからとツッコミを入れたくなるが、
それどころではない。
「…康二って、そんなロマンチックなタイプだったっけ？」
「こう見えてラブストーリー好きなんよ。
…俺にはわかんねん。
男女、年齢関係なく誰もが
"こんな経験してみたーい" "現実で起こらないかなー"て
妄想するシチュエーション。つまり"運命的な出会い"
それがあべちゃんに起こっとるんよ！！」
興奮して目をキラキラさせる康二はここ最近で一番楽しそうで、
なんだか複雑。
「運命…」
思い出すとなんだか恥ずかしくなってきて、
顔が熱くなるのを感じる。
「また行こーな！」
「え？また？」
「また行ったら会えるかもしれへんやん！
俺、あべちゃんの恋応援したいもん。」
ひとりノリノリの康二はすっかり恋愛モードで、
俺は慌てて否定した。
でも、なぜか胸がざわざわして落ち着かない。
「いやいやいや、俺は別に…。
これは恋なんかじゃなくて。」
「…ほんま？
恋愛(話)マスターの俺には、
恋しとる
「…！」
康二の視線の先には、バックミラーに映る真っ赤な顔の俺。
騒めく胸は止まらない。
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作者名：にな | 作成日時：2024年3月20日 14時
