one summer's love＿ (ページ5)

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episode.5 ページ5

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「そろそろ戻りますよー。風邪ひきます。」

「えー、まだ遊びたい。」

「子どもじゃないんだから。ほら、」

駄々をこねてバシャバシャ水をかけてくるが、

どうせ濡れているので気にせずスルー。

かがんで自分の背中を指差す。

「乗ってください。」

彼女は"お姫様抱っこが良かったなあ"と不服そうに言いながらも

遠慮なくスッと背中に乗った。

……お姫様抱っこは意味ないんですけど。

透けてるの隠すためだってわかってるのかな。

変なところで鈍くて困る。

「…ねぇ。早く行こうよ。」

突如吐息まじりの声が耳にかかった。

不意打ちのことにびっくりして、

肩がびくりと揺れる。

「あは！おもしろ〜い」

もうなんなのこの人！？

子どもみたいにはしゃいでると思ったら、

急に大人っぽく誘惑？してくるし。

どっちが本物の彼女なのかわからない。

こんなに女性に振り回されるのは初めてで

どうしようもなく体も心もむずむずした。

自分のペースを乱されるのは苦手なはずなのに

なぜか嫌な気持ちにはならないし。

"憎めない"ってこういう人のことを言うんだと知った。

「…行きますよ。」

体中にまとわりつく感じたことのない思いを振り払いたくて、

わざと勢いよく立ち上がった。