one summer's love＿ (ページ3)

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episode.3 ページ3

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駐車場から海辺に移動した俺たちは…

「別行動？！」

「そやで。ほなまた！」

何故か別行動することになっていた。

声を上げる俺をスルーしせかせか歩き出す康二を

決死の思いで食い止める。

「なんで？！それ一緒に来た意味ある？！」

「まあまあ阿部、落ち着くんや。

あんな、俺らが2人でおったら朝とはいえ目立つわけよ。

せっかく来たんに帰らなあかんくなったら嫌やろ？」

え、何そのキャラ。

内容はあんま入ってこないけど謎のオーラに気圧されて頷いてしまった。

「あ！あべちゃんにこれ渡しとくわ！じゃお互い楽しもな！」

ぽんと手に乗せられたのは小さなカメラ。

「デジカメ…懐かしい」

"ありがとう"と言おうとした時には、

康二はとっくに数十メートル先でカメラを構えていた。

お礼は後にして何枚か撮ってみよう。

電源ボタンを長押しすると、

ウィーンという音とともにレンズがとびだす。

やっぱデジカメといえばこれだよね。

最近は写真を撮るにはスマホが主流だけど

一昔前はデジカメが大ブームで、

カメラを趣味にしない人も当たり前のように一台持っているくらいだった。

聞いた話によれば今若い子の間で流行り始めてるとか。

再ブームきたりするのかなあ。

それにしてもこのデジカメ高そうだな。

カメラには疎いからよくわからないけど、

デジカメでファインダー付きって珍しいんじゃ？

画面もレンズも綺麗に顔が反射するくらいの状態で

康二がすごく大事に扱っているのが伝わる。

壊さないように気をつけよう。

準備ができカメラを海に向け、ファインダーを覗いてみると

「っ……綺麗…」

そう、自然に溢れた。

やっぱり目で見るのともスマホで見るのとも違う。

年代物なのか少し粗い画質にどこかなつかしさを感じるそれを、

俺はとても気に入った。

「もっと撮ってみよう！」

せっかくだからファインダーを覗いたまま

空や砂浜、海の家を眺める。

でもやっぱり最後には海に戻ってきて。

シャッターを切ろうとした時、

ふわりと白いものが画角に現れた。