one summer's love＿ (ページ1)

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episode.1 ページ1

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「あべちゃん！海行かへん？」

「えっ海？」

スプーンを持つ手を止め、声の主の方に顔を向ける。

「もうすぐ夏やんか〜。

海の写真撮りたいな思って。」

手をカメラの形にして俺を捉えるのは康二。

突然やってきてピラフを振る舞ったのには

こんな魂胆があったのかと、思わず苦笑い。

なんか変だと思ったんだよな。

尋常じゃないぐらい汗かいて必死な形相で"昼ごはん、作るわ"って。

そこまでして海に行きたい理由って。しかも俺と？

疑問は残ったまま。

でも最近ハマっているという康二の手作りピラフは美味しいし、

海とかもう何年も行ってないし、行ってもいいかな。

というか、行きたいかも。

「行く！行きたいっ！いつ行く？」

そうと決まれば自然と声は弾んだ。

「おー！意外と乗り気やん！俺のピラフが効いたか〜！

来週とかは？昼は人多いやろうから朝早くなるけど…」

「全然いいよ。むしろ早朝の海とか行ったことないから楽しみ」

この前までのジメジメした気候が嘘だったかのように、

外はカラッと晴れている。

夏が始まろうとしていた。