共犯マッチング【紫】 (ページ28)

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『おはようございます！』

挨拶は業界人にとって基本中の基本。

気持ちも切り替えたことだし、

しっかりしよう…と思った矢先

「おはようございます！」

背後で響いた声。

振り返ると何だか困ったような顔つきでこちらを伺う

目黒さんが。

バッチリ目が合ってとっさに逸らしてしまう。

え、気まずい気まずい気まずい。

あー、きつい。ほんとに…こんなんで撮影になるの…？

でも仕事だし…仕事だし。仕事…なんだけど、…

……無理だ！切り替えられない！

早瀬さんごめんなさい！！

両手を組んで天を仰ぐ。

目「…っふは！南さん何してるんですか！」

すぐ横に立つのは

さっきまでの遠慮がちな態度が嘘のように大笑いする、

いつもの目黒さんだった。

『え、まだ…いたんですか…？』

てっきりもう通り過ぎたものだと思っていて。

醜態を晒していたことを理解すると、恥ずかしすぎて逃げ出したくなる。

目「南さんてそういう一面もあるんですね。

可愛い。」

『え』

目「あ」

kawaii……カワイイ…かわいい…可愛い？！

私が！？はてながぐるぐると頭を回る。

『えっと、？』

目「ち、違うんです！そういう意味じゃなくて！

ほら！動物とかに！言うじゃないですか？！」

『あ、言います言います！よく使いますよね？

"可愛い"って！動物愛護的な？？』

目「そうそれ！動物を愛護するみたいな！」

お互いてんぱりすぎて内容意味不明だけど、私たちにとってそんなのはどうでもよくて。

とにかく目黒さんの"可愛い"をどう誤魔化すかが一番大事だった。