共犯マッチング【紫】 (ページ27)

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『……』

早「ちょっとA、大丈夫？

効果音付きそうなくらいの落ち込みようだけど…

今日目黒くんとの撮影じゃん！」

『んー…ちょっとね…』

それなんですよねぇ。落ち込みの原因は。

しかし…言えない。

目黒さんと一悶着あったなんて言えない。

気まずくて今日本気で来たくなかったとか

口が裂けても言えない。

早「まーなんでそうなってるかは訊かないけどさ、

撮影にその状態で行くのだけはやめなよ。

今から魔法かけるから、終わるまでに切り替えること！

いいね？」

『…うん。ありがとう。』

早瀬さんはメイクとスタイリングをすることを

"魔法をかける"と言う。

大袈裟だと思われるかもしれないけど、

それはあながち間違いじゃなくて。

＿＿＿＿

早「終わったよ。」

鏡に映るのは、

引っ込み思案で真面目な優等生倉木小花(くらきこはな)

限りなく薄いメイク、膝丈のスカートに

きっちり結われたセーラー服のスカーフ。

身にまとうもの全てが小花を象徴している。

…魔法だ。

さっきまでの憂鬱な気持ちはもうどこかへいってしまった。

心臓の鼓動が速まる。

小花を演じたくてたまらない。

早「切り替えられたみたいだね。」

『早瀬さんありがとう！行ってきます！』

スカートを翻してスタジオへ急いだ。