共犯マッチング【紫】 (ページ23)

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「はい！オッケーでーす！お疲れ様でしたー！

この後すぐに公式に上げる動画撮りまーす」

その声を合図に一斉にスタッフさんが動き出した。

私達の周りにも衣装さんやメイクさんが付き、

ささっと身なりが整えられていく。

目「だいぶバタバタしてますね」

『そうですね。目黒さん疲れてませんか？』

目「俺は大丈夫です。でもなんででしょう」

首を傾げる目黒さんに、

私を担当していた若いメイクさんが半笑いで答えた。

メ「お二人のスケジュールの都合ですよ。

なんてったって今Z世代に1番人気ですからね。

アイドル部門と女優部門」

ス「監督もやりますよねー。

このキャスティングかなり前なのに、まるでこうなることが

わかってたみたいですよー

狙ったのかたまたまなのか…

こんなキツキツなスケ組まれてもねー」

途中で参戦したスタイリストさんも苦言を呈す。

…明らかに嫌味な言い方。

ハードスケジュールがきついのはみんな一緒だし。

それを私達や監督が悪いみたいに言われるなんて

気分が悪い。

『あの…』目「やめてください」

一歩前に出ようとする私を、目黒さんは片手で制し言った。

目「俺はこのドラマいいものにしたいと思ってるんですけど、

お二人は違いますか？」

刺すような瞳で真っ直ぐ問いかける彼に、

2人は押し黙る。

メ「は？いや、それとこれとは話が…」

ス「…いいドラマにしたいってのは現場に携わる人間として

思ってますけど…」

目「じゃあこういうのやめません？

撮影現場の空気って、メイキングとかドラマ本編とかで

意外と伝わるものだと思いますし。

僕たちがこれじゃあいいドラマなんて程遠いです」

熱いな。

きっとこの人は、

お芝居、お仕事に懸ける思いがとてつもなく強いんだろう。

真摯で、誠実。

私と真反対で、いちばん苦手なタイプ。

憧れるけど、惹かれない。

だって私みたいなのが触れたら、簡単に焦げて消えちゃうから。