共犯マッチング【紫】 (ページ17)

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みーな遅くなりました。今夜どうですか?

簡単な朝ごはんを食べながら

メッセージを送った。

画面が開かれたままのトーク画面。

ぼーっと見つめていると、

一分足らずで返信がきた。

ふかまるこの時間にめずらしいね。オフ?
みーなめずらしいもなにも、まだ一回しかやり取りしてないじゃないですか
ふかまるそーだっけわらねえオフなの?
みーなそうですけど。
ふかまるラッキーオレもオフなの。デートしよ

＂デート＂

その単語に不本意にも胸が高鳴る。

軽いのに強引な誘い。

掴めそうで掴めない彼に、

どんどん流される。惹かれていく。

『…なにがしたいの。』

こぼれ落ちた呟きには、

苛立ちと戸惑い、そして少しの期待。

このままじゃだめ。

だめだ。

一回を二回にしてしまったらもう終わり。

戻れなくなる。

だめ…だめ…だめ…

脳に響き渡るけたたましい危険信号。

鳴り止まないそれが、

私を止める唯一のストッパーだった。

わかってるはずなのに。

アイドルと女優がデートなんてご法度だよ？

今の時期にスキャンダルなんて笑えないんじゃない？

＂私＂はそんなことする人じゃないでしょ？

どこからか聞こえる声は、

私だけど私じゃないみたいで。

『私…は…』

自虐的な笑みを浮かべながら、

私はストッパーを壊した。