共犯マッチング【紫】 (ページ16)

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ふかまる時間ある?

そのメッセージに気づいたのは

久しぶりのオフの日の朝で、

送られたのは2日前の23時半。

万が一スマホを見られた時のために、

マッチングアプリはホーム画面から外していたし、

通知も消してあった。

自分でやったことではあるけど、

いちいちアプリを開いて確認するの手間だなぁ。

L○NE交換しておけばよかったかも。

次会うとき、提案してみる？

マッチングアプリも

ファンの人とかにバレたら大変だから、

退会しようって。

いやでもそれって、

付き合うってことだよね。

うまくいって、

アプリの必要がなくなったカップルがする話じゃ…

私たちの関係って何になるんだろう。

無駄に広いベッドにひとり、

横になったまま考える。

やっぱりこの前深澤さんが言ってた＂共犯＂？

でも犯罪をしてる訳ではないから

正確にいえば違うんだろう。

まあどちらも後ろめたい気持ちはあるし、

バレたら終わりって点では

犯罪と変わらないのかもしれない。

『…会いたいなぁ』

困ったように笑う顔

細い目が飛び出そうなほど驚いた顔

照れて赤い顔

ムッとした顔

悪いことを思いついたにやけ顔

そして、共犯を持ちかけた

子供みたいな無邪気な笑顔

たった一晩でたくさんの顔を見て

それを簡単に思い出せてしまう私は…

白い天井に意味もなく伸ばした手は

重力にしたがってあっさり落ちていく。

もうとっくに堕ちている。

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