共犯マッチング【紫】 (ページ12)

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side深澤ページ12

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軽いお遊びのつもりだった。

「俺結婚すんのよ」

深「え！結婚っ！？」

とある都内の居酒屋。

同級生数人と久しぶりに飲んでいる時、

突然だった。

衝撃が大きすぎて次の言葉が出てこない。

もう…そんな時期なの？

「実は…俺もでーす！」

「マジか！」「幸せになれよぉ〜」

「俺会社立ち上げてさー」

「奥さん妊娠してもう親父大喜びよ！初孫だーって」

置いてけぼりのオレをよそに、

幸せ報告は続いている。

かつて同じ教室で過ごした仲間達の吉事だ。

嬉しくないはずがない。

でも、一度感じてしまった戸惑いと不安は

全身にまとわりついて消えなくて

深「みんな…幸せそうでいーなあー」

思わず漏れたひとりごとに、

みんな即座に反応した。

「ふっかは…なぁ！」

「アイドルだろ？可愛い子たちに応援されてんだろ〜！」

「マネーガッポガッポじゃねーの〜？」

「芸能人と仲良かったり…？！」

「俺ら庶民より幸せじゃん」

「そーそー！！！」

笑いながら自らの言葉に共感し合う姿に、

少し悲しくなった。

わかって、くれないかぁ。

幸せそうな顔を見てたくなくて、

テーブルに肘をつきぎゅっと目をつぶる。

でもそうだよなぁ。

高校の時はアイドルの自分を自慢しまくってたのに、

大人になってそっちの方が幸せそうとか。

…わかってもらおうとするのは傲慢か。