21 夏目side ページ21
「んー、風が気持ちー
久々に屋上にきたわ」
「もう日差しがだいぶ強いな…」
屋上の床の反射で目が痛い、
確かに風は気持ちいいが日差しが強くてじんわりと汗をかいてきた
「ごめんね、お昼、西村くんたちと食べる約束だったんでしょ？」
「あぁ、いや、
いつも誘ってくれてるだけで約束とかではないから
大丈夫だ」
いつも通りお昼をどこで食べようと話していた時
狐塚がやってきて、昨日の謝罪のついでに話があると俺を呼び出した
西村に関しては何故か悔しそうに、しかし羨ましそうにしながら見送ってくれたのだが…
絶対なにか勘違いしている
「それならいいんだけど、
今朝、妖怪に追いかけられてる夏目を見つけちゃって」
心臓がどくり、と音を立てる
名を返せと言われながら追いかけられていたのだ
友人帳の存在に気づいてしまったのだろうか
「その時にちょっと気になったんだよね」
「何に...？」
「それ、手怪我してるでしょ」
「え...？」
確かに追わえられている最中、
1度捕まりかけた時に手を振り払ったときに
妖の爪で引っ掻いたのだが、
そこまで大きな傷ではないから放っておいたのだ
「掴まれるかなんかした？
手の甲のとこに妖に付けられた傷がある
ほっとくと後々面倒だよー
これ、妖の中で傷に効くって言われてる薬草、
手当してあげるから手をだして」
「あ、ありがとう」
良かった、話はこれか、
ほっと胸を撫で下ろす
バクバクとうるさかった心音が次第に落ち着いていく
狐塚は薬草を軽く揉むと、
傷に当て、上からガーゼ、
そしてそれを包帯で巻き込んでいく
結構器用にまくんだなと感心していたその時だった
「それでさー夏目...
単刀直入に聞くけど、
レイコの友人帳、今は夏目が持ってるの？」
包帯を巻く手を止めた狐塚の目が俺にむく
赤い瞳が怪しげに光っていた
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作者名：ナナチ | 作成日時：2022年10月2日 14時
