precious * (ページ7)

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「尚大はさ、きっとすごい色んな人に気を使ってこうした方がいいのかな、ああした方がいいのかなって色々考えちゃって」

「その人のことを真っ先に考えちゃって自分のことは後回しで、そんなことばっかりしてたから自分を見失っちゃったっていうか、」

「私だったらそんな悩み絶対しないもん、有り得ない」

『、え？』

「尚大は、しっかり周りが見れて今どういう状況なのか、どうした方がいいのかを時と場合に応じて見極めることができる」

「私なんてさ？いつも自分のことばっかりで自己中で尚大振り回してばっかりでしょ？」

「ほら、思い返してみてよ、私尚大今までどれだけ振り回した？デートの気分じゃないとか言ってお家デートに変更させちゃったり急にご飯のメニュー変えちゃったりしてさ、」

今思い返せばほんと私最低だな〜、なんて今度は思い出しながら苦笑いを浮かべる

「でも私が尚大にそういうことされたことあるか、って言われるとないの、思い出せないの、だから全然ないの、されたことないの」

ゆっくりと顔を近づけてきて下から優しく顔を覗き込んでくる

「尚大は、そういう人なんだって」

「自分が分からなくなってるんじゃない、尚大は自分の良さに気づけてないの」

「これが尚大なの、周りを気にかけられて対応出来る、これが尚大。ただちょっと自分を出すタイミングを逃しちゃってるだけ」

「優しすぎるんだよ尚大は。あとは人の気持ちに寄り添うことができる人」

「だからちょっと気分が落ち込みやすかったり俺ってなんでダメなんだろうってなっちゃうの」

『 ... 』

「うーん伝わってるかなぁ、」

頭を軽くかいて悩んで一生懸命言葉を選んでくれているのが伝わる

「とにかく、これが織山尚大なの。これがあなたなの。この悩みは、優しくて素敵な尚大にしかない悩みなの」

「だからなんで俺は、って思っちゃダメだよ。優しさ故のものなんだから」

「でもさ、人に合わせたりするのって時には疲れちゃうよね、私もいつも困らせちゃってるよね、ごめんね」

「だからこれからは、ちょっとずつ、ちょっとずつでいいから自分の意見だったり考え方を言ってみようよ」

「それで言って離れていくような人は友だちとか仲間じゃないから」

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