#0 prologue ページ4
side レイ(Master)
薄暗い倉庫の中で、ひたすら俺はパソコンを打っていた。
タンッタタタッ。パソコンを打ちこむ音だけが倉庫に響く。
データベースを打ち終わって、誰かの手が俺の肩にポンっと置かれた。
「マスター、遂にやりましたね!」
嫌味のない、にぱっとした笑顔ではしゃぐ少年。
コイツは俺の弟のライ。
空気が読めない所が少し気に入らないけど、俺のどんなに危険な実験にも協力してくれる大切な相棒だ。
俺はごくりと喉を鳴らした。
「ああ。後はこのスイッチを押せば……」
俺は赤いスイッチの上に手を重ねる。
スイッチは円っこくて、ひんやりしていた。
俺は思わず唾を飲む。
そして――覚悟を決めた。
「いくぞ、、、1・2・3!」
俺は3のカウントでスイッチを力一杯押し下げた。
ライは興味深そうに、しばらく実験装置を観察していたが……
「マスター!成功です!」
タブレットを手にVマークを見せて、人懐っこい笑みを浮かべるライ。
つられて俺も少し微笑んでしまう。
「ああ。出来上がった。俺のディストピアが!!」
俺は声を張り上げて、高笑いした――。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*honeylemonade*(aile所属) | 作成日時:2019年10月18日 16時