62話 ページ12
夜
「…」
目を覚ますと、布団の中にいた。
目の隣にはコンビニの袋があって
中にはタオルとかお茶とかがつめつめになってた
氷が入ってた袋が溶けていたから
相当時間がたったんだとおもう
「…あ、鬱に…」
バキバキのスマホには複数の通知
とりあえず目的の鬱をひらけば
ut『A、大丈夫？明日はこれそう？』
ut『今日はとりあえず休み！』
ut『頼ってくれて、嬉しかったわ』
「…いみわかんない」
なんで俺なんかにたよられて喜ぶんだ
そういう性癖？
「…いかなきゃ」
シャワーで汗だけ流して
いつもの服に着替える。ご飯を食べろ
という命令を忘れた脳は鍵を持たせて
外に体を追い出した
ちゃんと生きるなら、その分の
対価を払わなければならない
お金がいるんだ
「…」
《親父はあの日、突然出ていった》
《お袋は、その日から死ぬまで
親父の帰りを待ったがそれは叶わなかった》
《どんどん悪化していくちるの様態》
「……」
俺は、働けるし家がある。
そして親父の生死がわからんから
生活保護は難しい。それに嫌だし
「ちゃんと、俺がするんだ」
───
ひとらんの家
ht「ん…A、顔赤いけど大丈夫？」
1週間ぶりのAは火照っていた
体育祭の練習の後だかららしい。
可愛らしい理由に微笑んでいる俺を
よそに今回分の仕事を全て終わらせ
てしまったA
ht「いつもありがとね」
「いえ、対価貰ってるんで」
ht「Aが来てくれる火曜日が、1番好き」
ht「…毎日、火曜日になって欲しいくらい」
ht「…A、きて」
「…また寂しい、ですか？」
ht「うん。君に会えないことが寂しい」
「…」
ht「…」
Aは、俺のわがままに
付き合って抱きしめてくれる。少し
汗の匂いがするがそれすら興奮してきた
「…ひとらんさんは、一途な人だから」
「あんたに惹かれる方も現れますよ」
ht「君がいい」
ht「…痛客なのは分かってるんだけど、」
ht「君とずっといたい」
「…」
次の仕事まで時間があまりない。
しかしこのわがままを何とかしなければ
「…ひとらんさん、こっち向いて」
ht「なに？ん、ｯ」
ht「…キス、気持ちよかった」
Aにされるがまま撫でられるような
舌使いに体から力が抜けた
離れていくAを惜しみながら
見つめる。…来週、来てくれないのかな
「では、また来週」
ht「…！」
うれしい
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作者名：あちき
| 作者ホームページ：http://33550619
作成日時：2024年3月28日 22時
