【d!】一方的なやりなおし2

98話 ページ48

em「…」

Aさんが学ぶ理由は、複雑で深刻で
健気だった。

私たちに殺されないように、目的を
果たすために無駄だとわかってやる

とても面倒臭く、彼女には苦痛だったはすだ

もう安心して欲しい。私はあなたを疑わない
数回行った講義はどれも楽しかった
貴方は聞くだけのロボットやない
変だと思うなら執拗いほど聞いてくる

楽しくて堪らなかった
まぁ、女性について知れたのもよかったですし

あの楽しさを失いたくは無い

em「あ、講義は続けますからね」
「え、」
em「他の人に嫌われたくないでしょう？」
「…わかりました」

会話は終わった。
そう判断して中途半端に切り分けられていた
朝食を運ぶ。鮭、今日は塩っぱいのね

gr「…A、俺にも1口くれ」
「ご自身のを召し上がってください」
gr「総統命令」
「…職権乱用ですよ」

「…」

切り分けたものの一部を
彼の食器に移した。それでも不満なのか
口をへの字にしだす様

こんなこと、あの人が総統ならしない
こんな馬鹿みたいなこと

os「…」
os「グルちゃんは、自分で食べられないお子ちゃまめぅ〜??」

gr「?!、食えるし、邪魔するなや…」
gr「…もういい、A。ありがとう」

「…」

なんなの

em「…」

グルッぺんさん絶対
あーん…して欲しかったんよなー…

ま、させませんけどね！
オスマンさんグッチョブです!!

───
トントンの部屋

「書類の提出しに来ました」

tn「そこ置いとって、」
tn「…」

Aは、いつもの様に
終わった書類を整理し
仕分けをしている。

細く小さな手の音
死んだような眼差しの色
ボロく買い換えるべき服の皺

何も言わないA
今までそれを隠してきた
なんて気付かへんかった
添い寝まで、したのに

不快なさで申し訳ない

tn「…気づかんくて、すまんかった」
tn「…そんな悪夢見てたらやになるよな」

「…大丈夫です。慣れました」
「書類の整理が終わったので、配布してきます」


「…なんですか」

tn「…」

気づいたらAのその腕を
掴んでいた。包帯の質感がする
その下にはどれだけ傷が…

tn「…Aがどれだけ傷ついたかを完璧にはわからん」
tn「そもそも人の心なんてない」
tn「やけど、Aの為になりたい」

tn「…俺を、頼って」

「…お気遣いありがとうございます」

tn「あ、」

振り払われた手は、行き場をなくし
彼女が消える姿を見つめるしか無かった

気づいたんや

俺がAに持っているこの感情

…

恋だということを、

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