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93話 ページ43

「…」

元大学教授の彼の講座は有難いが、
1度断ったものをほいほい受け取るのは、
少し気が引ける

発言を躊躇っているのを、彼は
畳み込むように言葉を流し出す

em「あ、なら、Aさんが俺に女性の扱い方を教えるとかはどうです?!それよくないですか!貴方も私も学びたいことが学べるし……、ゾムさん呼んでいいですから、ダメでしょうか」

「…女性の扱い方の自信はないですが」
em「大丈夫です!」
「…」
「…よろしくお願いします」

em「!!!こちらこそ、!」

Aさんは、終始バツの悪そうな
顔をしながら俺に礼をして図書館から
逃げていった。

持っていたモップの柄に熱が伝わっていく
嬉しい、やった

em「じっくり、教えたりますよ」

私の叡智を舐めないでくださいね…?


zm「…」

なんで、エミさんに頼るんや?
そりゃ、あいつの方が頭はええけど
俺の方がカンカク的にできるで、?

───

それから、エーミールさんとの
講義が毎日のように始まった。
時間は、きまって夕食の後
彼が私を呼びに来る

図書館の幹部しか入れない
秘密の場所でたくさんの本をならべて
彼の叡智を聞く

訓令兵の頃に戻った気分


───
図書館


em「Aさん、もう少し私たちに気を崩せません?」

頼まれたであろう数多の書類を
撫でながら彼は言った。乳白色の
瞳は横に伸び、口は先程から止まらない

em「嫌われてるって思うのは」
em「貴方が彼らから距離をとってるからではありませんかね」
「…」

どれかの本にも同じ主旨がかかれてあった
私が距離をとっているから、嫌われる、か

em「あ、え、あ、別に私たちが貴方を嫌いとかは無いですから!」
em「例えばの話やで…」

「…」

彼の慌て様が揺れている紅茶の水面に
映る。飴色はゆらゆらと行ったり来たり
していた。

「…距離を近めるにはどうしたら?」

em「そうやな…敬語外してみるとか?」
「敬語…」
em「はい」

Aさんは、深刻そうに訝しげに
私を見つめていた。珍しく顕になった
クマの方が深刻なのにな、

em「私を練習台に使っていいですから!」

彼女はそれに反応したらしく
とても嫌そうな目が映った。え?

「いや、…上の方を使うのは気が引けるので」
em「同じ幹部でしょ?」
em「ゾムさんとか見てはってくださいよ」

「…」

あの人は、敬語使わないんじゃなくて
使えないだけだよ、多分。

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ふむむ(プロフ) - 66話のヒントでもしかしてスパイって…やばいめちゃくちゃ好きです。 (3月23日 3時) (レス) id: 72c4b6a776 (このIDを非表示/違反報告)
まも。 - 53話の絵、めちゃくちゃ上手いしシュールでおもろいの草。才能の無駄使いってやーつ…? (3月20日 22時) (レス) id: f3d61cfa83 (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - うえはーすさん» ありがとうございます! (3月18日 13時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
うえはーす(プロフ) - 初コメ失礼いたします!ついに100話まで…!あちき様の作品はどれも素晴らしいものばかりで尊敬いたします!お体にお気を付けて、これからも元気に活動頑張ってください! (3月18日 13時) (レス) id: 9aaf506a02 (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - レナさん» すみません…!ありがとうございます (3月5日 23時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619  
作成日時:2024年3月4日 15時

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