【d!】一方的なやりなおし2

77話 ページ27

zm「お、おらんけど…お前は俺でええんか」
「別に。お互い単位落とすのは嫌でしょ」

俺の隣に図々しく座るA。
ノートも服も新品や。

zm「…お前、新入り？」
「はい、今日からお世話になります」
zm「やから、知らんのか」
「？」

俺は、せっかくの誘いをへし折るように
今までの悪業を話した。聞いてた輩は
途中で逃げたり、先生も俺を無視して
怯えてた

けど、Aは最後まで聞いて

「そうですか」
zm「…は？」
「…」

それだけなんか、と思った。同時に
それでもええの、？とも思った。

Aにとって他人の過去はどうでもいい
講義の方が大事、

それやけど、なんかそんとき

zm「ｯ…」

初めて俺を見てくれた気がしたんよな




zm「お前、手ぇちいせぇな」

講義は、人の手の形について
こいつが差し出す手は細いが小さい
なのに癪に触らんのか睨んで

「…男女の差でしょ」
zm「…お前、女やなそういや」
「…」
zm「…ま、どうでもええけど」
「…！…」

Aは少し驚いていた。そして
少し震えていた。Aからしても、

女というコンプレックスを気にしない
俺が嬉しかったんやと思う



kn「…ゾムってやつをAのそばに寄せてよかったな」
kn「…A。俺が見てきた中で1番俺の隣にふさわしい人物や」
kn「じっくり育てるで…」




─

zm「お前名前なんてゆうん」
「会って1週間経ちましたよね、ゾムさん」

zm「なんで名前知っとんの怖」
「名簿」
zm「…俺、文字きらい」
「…Aです、こう書きます」

zm「…」

ノートの切れ端のひらがな
ビリッと音を立てて

俺の手の中に収められる

「ペアでいる間は覚えてください」
zm「…おん」

A、A、A
俺をいじめない、嫌わない
初めてのトモダチ

zm「A、なら、その」
zm「敬語外してや、距離わからん」
「距離とかいります？」
zm「いる」
zm「ペアでいる間は、いるやん？」

「…わかった、敬語無し苦手だけど」
zm「お互いなれてこーや」


kn「…」

ゾムは諸刃の剣だった
Aが惚れる可能性が出てきた。
恐らく、俺と同じ因子があるなら
惚れやしない

やけど、
…仮にも惚れたりしたらゾムを
早めに処分せんとな

…A、途中参加なのによう頑張っとる
《親父さん》のこともあって大変なのにな

えらいで、俺が褒めたる




壁越しに、重い視線が
毎日届いていく

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