【d!】帰ってきた諜報員 (ページ5)

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5話ページ5

廊下

syp「あ、Aさん」

「ショッピさん、こんにちは」

喫煙所の方面から向かってきたのは
ショッピさんだった。
相変わらずサイズオーバーのパーカー
服も縛りも緩いのが好きなんだろうな

syp「何故ここに？」

「図書館で調べ物をしておりました」

syp「ふーん、そんなんテキトーに書けばいいのに」

「新人なのに、そのような事はできませんよ」

貴方達のテキトーな文字をトントンさんが
修正してる場面を見れば敵だけど同情した

無知な彼は、乾いた笑いを広げたあと
私が持っていたファイルの半分を取り上げる

は？

「え、」

syp「ほら、行きますよ」
「私、ひとりで持てますので大丈syp「先輩の言うこと聞けないんですか」

「…ありがとうございます」

随分軽くなってしまった腕。
…持てるのに

syp「…」

Aさん、今日も仕事なんやな
先輩の俺らはサボってるのに尊敬

不健康な目元は、窓の奥を見ていた。
反射して瞳に光が指している

syp「…」

「…」

「ショッピさんは、ゆったりとした服が好きなんですか？」

syp「え？」

「…いつもそんな感じの服なので」

距離を埋めるための質問に、彼は
あっけらかんとしていた。数秒立って
内容を理解したあと

syp「あぁ、はい。デカいのは好きです」
syp「よう気づきましたね」

「何となく、ですよ。」

syp「…Aさんって、観察力高いですよね」
「そんなことありませんよ。」

敵国で鍛えられました、とかは
口が裂けても言えない

syp「他にも気づいたこととかあるんですか？」

「…」

なに、その質問。
まるでスパイということを見透かしている

一瞬で緊張感が脳裏を走った。呼吸を整え
言葉を考える。

「…他に、ですか。」

「ショッピさんは、いつも左向いて寝てるとかですかね」

syp「え、なんでわかんの」

「寝癖です。頭の右側がよくはねているから」

syp「はぇ、すげ」
syp「カウンセラーとか向いてますよ。転職します？」

「いえ、…人の話聞くのは苦手なので。」

syp「そうなんや」

へぇー、Aさんってそういうの苦手なんや
なんか意外やわ。
やけど、寝る位置までバレるって相当やな

…さすがやな

───
ショッピ
…グレーなのは知ってる。
だけど一目惚れしてしまった。