【d!】心臓破りのきゅうけつき (ページ2)

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2話ページ2

放課後

sha「お、A。残っててくれたんや」
sha「はい、俺のQR」

「ありがとう」

某アプリで、連絡先を交換する。
彼のアイコンは、…ポメラニアン？の写真だった。ペットかな

sha「…Aのアイコン、シンプルやな」
「そうかな」

確かに、ただの単色なのは地味なのかもしれない。どーでもいいけど

sha「まぁ、これからは俺との写真で埋めるしええか」

「…運動会とかの記念写真ってこと？」

sha「さー、どうやろうな」

シャオロンの足が、二三歩前に進む。私の後ろは窓で、逃げ場がない。獣にとっては絶好のチャンスだ

sha「A、手を貸してや」

「なんで」

sha「分かっとるやろ？」

「…」

剣士をギラりと見せつける吸血鬼。…ただ、私にも私なりの事情がある。

ただで飲ませる訳にはいかない。

「通報してもいい？」

sha「できるん？笑」

「！」

1、と打とうとした瞬間、彼の手ではない何かが鞭のごとく当たり、スマホは滑りさった。

「…監視カメラ、大丈夫なの？そのしっぽ」

sha「あー、俺の仲間に得意なやつがおるから」

「…複数人いるんだ。」

sha「結構おるよ。さ、Aサン。」

sha「食い殺されたくなかったら、血をくれや」

「…」

血を求められるのは3度目だ(・・・)。目の前の吸血鬼は、わたしが怯えて生を懇願しながら渡す様子を渇望なんだろう

しないけど、そんなこと。

「ただではあげないよ」

sha「は？ケチ」
sha「そんなビンボーなん？笑」

途端、不機嫌になりしっぽが古い床に叩き付けられた。

sha「食い殺されてもいいんか。」

痺れを切らした彼が壁ドンし、顔をスレスレまでに近づける。黄色い瞳の中の瞳孔が細く小さかった。

「なんでもいい。等価交換」

sha「…なら、これは？」

新品のノートだった。線ひとつ入っていない真新しいそれは私の首を頷かせる。

sha「契約成立っやな。」

sha「んじゃ、いただきまーーす」

「いｯ」

外していた襟の中に牙が埋め込まれる。彼の服の袖を握るほど痛かった。

ただ、雷のごとくその痛みはなくなった。

sha「…なんや、この血」
sha「うま…」

sha「……」
「…なに」

去勢された犬の様に静まり返った。満足した？

と、思っていたのに

sha「A」
sha「好き。結婚してや」
「え」

戸惑う私を他所に、求愛してきた野蛮な彼のしっぽはブンブンと振り回されていた