121話 ページ21
【廊下】
「……」
仕事に戻らなきゃ。…思い足取りでトントンさんのところに向かう。どうしてかいつもより道が長い。フラフラと揺れる廊下は私を拒む野良猫のようだね。
疲れた。
…期限がないことはわかっているが、それでも疲れた。…この後【引き続き】もしなくてはいけないかと思うとゾッとする。誰に教えたらいいんだろう、何日かかるんだろう、どうやったら伝わるのだろう。
頭の中でグツグツ何かが笑い出す。黒く艶やかなそれが頭にどんどん溜まっていく。
でも、働かなきゃ。
ht「…!A!」
「……?」
「あぁ、ひとらんさん」
ht「…何してんの。その先に床はないんだけど」
Aが、何かを唱えながら廊下の窓から身を乗り出していた。風が強く彼女の髪がたなびく姿に、自分の心臓がなくなった気がする。
なんで、そんなに仕事をしようとするんだよ。俺らは頼りないの?2ヶ月しかいないAがなんで、俺らよりも苦しまなきゃ行けないの?
ht「A、飯食って寝て。いいね」
「無理ですね、有事の仕事があるのでht「無理やりにでも食わすから」
「え、あの、ちょっと、」
彼女の折れそうな腕を引っ張り食堂に向かわせる。有事の時は見逃していいといった俺らが馬鹿だ。こいつは、有事と見た瞬間またあの社畜に戻る。早く治さないと
【食堂】
ht「はい、…ほんとはもうすこし食べて欲しいけど」
「…」
目の前の…卵がゆは食欲をそそるものがあった。…でも仕事しないと。恐らく久しぶりの糖分を取ればスパイクを起こし二時間は眠ってしまう。それはダメだ。
ht「食べろ」
「ん?!」
戸惑う隙もなく、突っ込まれた木のスプーンは舌に熱いとろみのあるそれを流す。生姜と塩味がマッチしてあり、…飲み込むのは苦じゃなかった。
「…美味しいです」
ht「でしょ?…俺らだってA程じゃないけど仕事はできる」
ht「なんでそんなに急いでるのか知らないけど、俺らだっているんだからさ」
ht「1人で溜め込まないで」
「…」
地球では、そう言ってくれなかった言葉だなぁ。
熱いのは食堂だけなのに、どうしてか頭もあつい。…彼の言葉に抱かれながらゆっくりたまご粥を食べていく。
塩味が、また増してきた?
ht「…」
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烏丸 - 夢主の過去が……自分で自分を洗脳してたんですね……聖女ちゃんもハッピーエンドになるといいな… (11月4日 18時) (レス) id: 144a6ab78e (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - 樹乃さん» 次の4章からヤンデレも注意書きに含めようと思います😊 (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - Rさん» ありがとうございます!なるべく其方に向けたいですねー…( ᷇ᵕ ᷆ ) (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - りすさん» ありがとうございます!そうなんです、悪女ちゃんは性格は悪すぎる訳では無いんです…!気づいていただいてとても嬉しいです😭 (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
樹乃(プロフ) - やべっ、rbrさんも段々ヤンデレっぽくなってきた(大歓喜)!!! (11月3日 6時) (レス) @page44 id: df66a330f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619
作成日時:2023年10月22日 9時