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111話 ページ11

【帰路】

ht「ねぇ、A」
「?なんでしょうか」

唐突に尋ねられ、一瞬身構えながらも振り返る。どこか焦った様子の彼は戸惑いながら

ht「A、欲しいのない?ほら、ペンとか消しゴムとかでも」
「うーん、…今のところは備品で間に合っていますので」
ht「…なんもないの?」
「…あった方が良かったですか?」
ht「なんか買ってあげたかった」
「…」

なんで、誰も彼もこんなふうに人に、ましてや私につくそうとするのだろうか。それならご自愛した方がずっといいのに。なぜ、みんな優しいの?

ht「…やっぱないよ、「なら、一つだけ」
ht「!なに!」
「…ノートが欲しいです。メモ帳代わりに」

焦って欲しがる必要ではないが、確かにメモ帳は欲しかった。彼はそれを聞いて嬉しそうにはにかむ。買っておくね、とまで付けたしては私の前をルンルンと歩いていかれた。

変なの。


【Aの部屋】

「……」


コンコン

「ん、?はーい」

ci「…」
「チーノさん、?」

なぜ彼が態々私の部屋に来たのだろうか。…またされる可能性も考慮して一応緩く身構えていると彼は唐突な質問を投げた。

ci「Aさんの部屋って寒くないですか?」
「え?…そんなに寒くは無いですけど、…」
ci「なんやろう、ほら、温かみというか冷たい色やん」
「…?」

部屋を見渡すと…確かにあまり温かみは無いかもしれない。なにせ、おまけ用の部屋なんだ。そんなに洒落てるわけがない。

ci「何かアクセントととかあったらいいと思いません?」
「?…おまけの部屋なので、特には」
「…」

「…何か買ってきたんですか」
ci「え、あッ、……」

「…」

図星。彼もまたどうしてか私に貢ぐのだ。聖女様ならわかる。寧ろ応援するのに。なぜおまけの居候に渡そうとするのかがイマイチ理解できない。

考えていると、彼はしわくちゃになった紙袋から…1個の橙色のキャンドルを取り出した。その暖かい色は確かに落ち着きそう。ただ、…

ci「……いりません、か。」
「…ケーキにさすには大きくないですか?」
ci「……は?」
ci「…ちょ、まってw、」

え、まって。Aさん勘違いしてはる!笑。これケーキ用の蝋燭ちゃうんやけど。

抑えきれない笑いを吐き出したあと、満足しては少し不満気なAさんにキャンドルの説明をする。途中で「火事にならないのか」とか「ロウが溶けたりはしないのか」なんて言うもんだから、笑いを超えて本気で心配した

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作品ジャンル:恋愛
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烏丸 - 夢主の過去が……自分で自分を洗脳してたんですね……聖女ちゃんもハッピーエンドになるといいな… (11月4日 18時) (レス) id: 144a6ab78e (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - 樹乃さん» 次の4章からヤンデレも注意書きに含めようと思います😊 (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - Rさん» ありがとうございます!なるべく其方に向けたいですねー…(   ᷇ᵕ ᷆  ) (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
あちき(プロフ) - りすさん» ありがとうございます!そうなんです、悪女ちゃんは性格は悪すぎる訳では無いんです…!気づいていただいてとても嬉しいです😭 (11月3日 17時) (レス) id: c587418d2f (このIDを非表示/違反報告)
樹乃(プロフ) - やべっ、rbrさんも段々ヤンデレっぽくなってきた(大歓喜)!!! (11月3日 6時) (レス) @page44 id: df66a330f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619  
作成日時:2023年10月22日 9時

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