【d!】宝物は飼い主に

47話 ページ47

Aは、そこで初めて止まった。
しばらく考え俺の顔を見つめる。

思えばAが探掘の旅に出て
半月はすぎたな。

お前が苦しんでいた10数年よりだいぶ短い
遠足だ

不安なことしかなかっただろう

言う気は無いが
最初にAが穴に落ちたのは
俺が魔法や

その後も教科書には乗ってないことで
怖かったかもしれない

でも、アイツらとあってお前は
楽しそうだった。

『共有している心臓』から
伝わるそれが嬉しかった

夢の中での俺との会話もそればかりになった

アイツらのことを話すお前の顔が好きだ


「記憶を取り戻したら、…」

gr「アイツらが喜ぶ、とかは考えるな」

「…よく分かるね」


Aは、いつもそこで会話が終わっていた
しかし、知ってしまったAは違う

俺の手を握って先程よりも声が大きい

「…でも、取り戻したら『楽しいかな』」

gr「…あぁ、絶対だ。」

「なら、取り戻したい」

gr「…付き合うぞ」


Aが楽しみのために、他のことを
するようになった。

それも嬉しくてたまらない

彼女を抱き倒し、離さない

「…」

施設にいた頃は、こんなことは言わなかった

毎日同じことの繰り返しだった。
それでムノウだったから早く消えたかった

でも、あの人たちとあった
楽しそうだった

楽しかった、色んなことを知るのが。
彼らと話すのが


勿論、今もはやく消えたいとはおもう
施設にはやく帰って綺麗に殺されたい、って

でも、その心のどこかに

『楽しい』を求めてしまった

これが正しいのかは分からないけど

……死にたくいないんだ


gr「A、ここまで来るのに半月かかったんだ。帰るのにも同じ時間を要する」

gr「…それまでに」

その心を逆転させてやるからな

「…楽しみにしてるね？」

gr「あぁ、楽しみにしててくれ」

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