【d!】宝物は飼い主に

43話 ページ43

zm「…」

手には、この花畑の中で一番大きな花弁の
ナデシコ。一番色も綺麗やし、形も整っとる

Aにあげたかった。でも、あいつ
皆の所ばっかいって俺のところにきてくれへん
オオカミになっても背中に乗ってくれへん

いやや、

なんで

なんで、

いや、

置いてかないで

また、捨てられる

いや、だ

もう封印はいやや

1人にせんといて、

お願い

いやだ


「───む」

「ゾム！」

zm「あｯ、…A、」

「…どうしたの？体調悪い？」

zm「…」

気づいたら俺の目の前にいた。
お前のせいでこんなに苦しいのに

zm「…あげる」
「え、あ、ありがとう」

zm「…」

花冠よりショボイからかAの反応は
イマイチだった。戸惑ってる
喜んでくれへん。

zm「…花冠の方がええんやろ、どーせあいつらの方がいいんや…」
「…？」

zm「…茎を、曲げようとしたらちぎれるし、…すぐ潰してしまう、」

「…ゾム。私は花冠欲しいって言ってないよ、？」
zm「嘘やろ！やって俺の花もらってもええ反応しないやん！」

「…」

zm「そっちの方が豪華やん！やからしょぼくみえるんやろ！」

言いたいことを思いっきり吐いた。
気持ち良かったけど、風みたいにそれはきえて
罪悪感と、恐怖が背中に張り付いてきた

やけど、

「違うよ。どっちも嬉しい」
「ただ、今はゾムの事が心配だから喜べないだけ」

zm「しんぱい、？」

「朝から機嫌悪かった。何かあった？」

zm「…見ててくれてたん、？」

「体調も悪そうだったし」

zm「…」

膝から崩れ落ちる。その衝動に任せて
Aに抱きつくと頭を撫でてくれた。

大好き、A、大好き

zm「…あいつらばっかでずるい」

zm「俺もちゃんと見て」

「…わかった。」

ゾムとの時間はかなり占めてるけど…
足らないんだろう。


彼と目が合う。
首を傾げると持っていた花を取られた。

今なら出来る、という彼を待っ

zm「できた、！」
「…指輪だね」

レガシーの1つにあるやつ。
花の飾りが綺麗。と言うと

zm「…A、手かして」
「？うん」



zm「…えへへ、」
「どうしたの」

『左手の薬指』に指輪をつけたゾム
…？

zm「今度はちゃんとしたやつ渡すわ」
「十分だよ。可愛いもん、この指輪。ありがとう」

zm「…愛しとる」
「うん、ありがとう」


──

ナデシコ
＝純愛、貞節

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