【d！】世界で貴方だけ4

153話 ページ7

あのまま、不貞腐れた態度で強引に屋敷を
出ては、駅に向かった。…
曇り空があやしい。天気予報では雨なんて
言っていなかったが、…大丈夫だろうか

「傘持ってきてないし…」

いそいでかえろう

【駅構内】

「……へ、」

帰る電車をまっていたとき、その音は
落雷のように降り注いだ。
雫が屋根にあたり鯛のように跳ねる音

ざわざわと人の声が余計に反響していく
窓には水滴がまばらにつきはじめ、
空は鈍色に濁り、視界がぼやけてきた。

「…雨、…」

ゲリラ豪雨と言うのだろうか、それは
勢いをましてどんどん私の心のように
黒く激しさをましていく。

「…」

それから顔を逸らし、電車に向かう。
雨だからか
靴の音、自分の髪の毛が揺れる音、荒い呼吸
全てがいつもよりうっとうしく鼓膜で振動する

ちょうどきた電車に乗り込めば、彼らに
お土産を忘れていたことに気づく。申し訳なく
思う反面、彼らに街の話をしなくてもいいと
思ったら安心してしまった。あぁ、性格悪い女だな

「…」

瞼を閉じれば、先程の景色が浮かんできて。
眠ろうにも彼らへの感情や、博士への疑問が
ぐちゃぐちゃと心を混ぜるもんだから
一瞬がさらに、短く感じた

博士、貴方は世界の王様にでもなりたいのですか。
だから彼らを使って世界に貴方の技術を感染させているのでしょうか。
そんな、暴君みたいなこといいのですか？
貴方は、そんな人なんですか？

気持ち悪いほど、博士への暗い思いが湧き上がる
彼は尊敬すべき偉大な人であり、私の命の恩人なのに何でこんなのが

「あぁ。ぐちゃぐちゃする」

まともな語彙も浮かばない私は、ついた駅のコンビニで傘が売り切れてあるこのもどかしさも
形容できず博士から頂いた大切な白衣を濡らしながらバス停に向かった。


一方その頃
【グルッペンの部屋】

gr「実験は俺は今後一切拒絶する」
？「まぁまぁ、Aくんのためでもあるんだしさ？」
gr「なら、なぜ実験がAのためになるのかも教えろ」

この犯罪者は先程から数分、俺にただをこねて
こんな気持ちの悪い願いをつらつら述べている。
全く、不快だ。早く出ていくかここから解放しろと
言ってもこいつは帰らない。

そのうち痺れを切らしたのか、この犯罪者は
低い声で彼女の名前を呼んだ。

？「Aが、どうなってもいいの？」
gr「？！、…どういうつもりだ」
？「Aくんがどうされてもいいのかい？」

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