私の偽彼氏になってください【東海オンエア】 (ページ8)

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と「全然得意じゃないすか。めっちゃ上手い」

「えぇ！良かったです、ありがとうございます」

元カノ以来、久々に食べた母親以外の女の料理。

目の前にいる人は彼女でもなんでもない、ただの隣人なのにここまで親しくなれるとは思わなくて少し変な気持ちになった。

「もう、夏ですね」

と「そうっすね。一年ってあっという間ですよね」

「分かります。私も去年の夏のこととか鮮明に覚えてて」

去年の夏は、来年の俺はきっと彼女と幸せな日々を…なんて考えていたけれどそんな人は現れず、ただYouTuberという仕事を仲間と心から楽しんだだけだった。

「としみつさん、今年の夏はおひとりですか？」

と「えっ、それはどういう…」

「彼女さんとか、いませんか？」

と「あー…、いそうですか？」

「はい、顔も性格もいいので」

と「嬉しいですけど、いないっす。出会いがまずないから」

「そうなんですね」

こんなこと聞いてどうするつもりなんだろうか。

もしかして友達に紹介するとか言い始めたりして…。

「令和最初の夏ってみんなうるさいのに、私も一人なんです。」

と「そっか。令和最初の夏…」

「でも、としみつさんは友達とかたくさんいますし充実してそうですよね」

と「Aさんだって友達たくさんいるでしょ？」

「まぁ、友達には恵まれてる方ですかね。でも去年もずっと彼氏がいたんで、今年は寂しいかも」

なんて贅沢な人なんだ。
俺は去年だっていなかったのに。

「…あの、ちょっとすごい事言ってもいいですか？失礼かもしれないんですけど…」

と「なんすか？」