Day 13 ページ13
「本当に奢ってもらっていいの?やっぱり悪いよ」
と「いいの、好きなの食べろよ」
連れてきてもらったのは見るからに高そうな焼肉屋さんで彼の人気の高さを知った。
「なんでいきなりLINEしてきたの?」
り「きのう、りょうと会ったんだろ?」
「うん、」
と「聞いたよ、全部。お前が俺を振った理由も、それも…」
私の首を指差すと、としみつはか悲しそう顔をした。
「あっ、これは…」
と「いいじゃん?俺もAに振られてから彼女出来たりしたけどすぐ別れて、今は寂しさ埋めるためにって感じでクラブ通っちゃってるし」
「…そっか。」
長い沈黙の後、としみつが何かを思い出したように私に紙袋を渡した。
「ん、何これ?」
と「開けて」
中を覗くと一枚のCDが入っていた。
『THE BEST』と書かれたそれには今目の前にいる彼のジャケ写だった。
「えっ、アーティストデビューしちゃった?」
と「まぁ、そんなもん」
「おめでとう、夢叶ってよかったね」
と「覚えててくれたんだ」
「うん、あんなに夢語ってたからね」
懐かしい。
まだ私たちが付き合ってまもない頃の事。
彼はずっと私に夢を語ってくれた。
、 、 、、 、、 、
俺がギターをここまで愛したのってAのおかげなんだと思う。
と『ギター、弾けんの?』
『あー、ちょっとね。小学校の頃習い事でやってて、辞めてからは独学で弾きたくなった時に弾くくらいかな』
初めてAの家に入った時、最初に目に入ったのが壁に立て掛けられていたギターだった。
『としみつもギター弾けるの?』
と『好きだけど、まだそんなに』
『ちょっと弾いてみてよ』
と『人のって弾けないんだよな。Aがやってよ』
『えぇ〜?』
少し恥ずかしそうな顔をしていたけどAは慣れた手つきでチューニングを合わせると優しく弾き始めた。
俺より全然上手で歌声も包み込まれるようにしっとりしていて、こんなに綺麗に弾いてる人は初めて見た。
『どう?』
と『え、あー、すごい、綺麗』
『見惚れてたでしょ〜、少しは惚れ直してくれた?』
と『はぁ?馬鹿言え、元からだわ』
俺もAみたいにもっと上手くなりたくて、いつか一緒に弾けたらいいねなんて言っていたのを思い出した。
そんなの、叶わなかったけど
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りんごじゅーす。(プロフ) - amichinさん» 失礼しました(汗)教えていただき、ありがとうございます! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 978193e2f8 (このIDを非表示/違反報告)
amichin(プロフ) - 半ば強引ははんばではなく、なかばと読みますよ! (2019年6月28日 3時) (レス) id: f6d131a32e (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - とても面白い作品ですね!(*^^*)更新楽しみにしてます! (2019年6月14日 22時) (レス) id: 41e7cff00a (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませていただいています(^_^)!細かいかもしれないですが、19歳で大学院に通っているというのは年齢的に合わないかなと思います、そこが気になってしまいましたがお話はすごく面白くてこれからの展開が楽しみです!…細かくてすみません (2019年5月23日 12時) (レス) id: b56ed7d6b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごじゅーす。 | 作成日時:2019年5月18日 20時