新人声優と最推しさんの恋愛事情 3

250話 ページ7

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ジュワワ〜と油の中で狐色になってくナゲット
その内の一つを箸で取り出し軽く油を切ってからお皿にのせて半分に割ると
白い湯気が一筋のぼる

よしよし、ちゃんと火通ってるな
この調子でドンドン行こうかね





「……もうそっち行っても良い？」


『ん？』



我ながらご機嫌に油の中にナゲット放り込んでいると声を掛けられる

その声のした方向、声の主を確かめようと視線を動かしたら
キッチンの入口？からこっちを覗くようにして立っている谷山さんを発見
地味にシュン…とした感じで聞いてくる辺り、なんか子犬っぽさがある

かなりデカいけど。

……うんデカイ


それにしても、キッチンの入口ギリギリには居るものの一歩足りとも入っ……



『…………………………あ』


「忘れてたな！？
彼氏…を出禁にしといて忘れてたな！？！？」


『ごめんなさい……w』


「絶対反省してないじゃんそれー」



いや、油使うから危ないからとマスター含め三人とも追い出したのだが
1歩も入らないとは律儀だなと

入っても良いですけど油飛んでも知りませんよ、と伝えると
まだ少し不服そうな表情をしながらもするりと腰に回ってくる腕と肩に乗る重み
やだ、この人可愛い



「…何作ってんの？」


『ナゲットですよ、毎年クリスマスに作るのが恒例なので』



ナゲットとは言ってもそんな大層なモノじゃなくて鶏肉を包丁でひたすら細かくして
味付けとかしてスプーンとかで適当にすくって油にポンッとしてるだけだけど

ちょっと細かくすんのが辛いけど特別難しい訳じゃないから
結構好き、美味しいし。



「ふ〜ん」



うわぁ興味なさそ〜

さっき試しに箸で割ったのを一つ手でつまんで口に入れようとする


がそれは叶わずに

グイッと手首を引かれてそのままパクっと谷山さんの口の中に消えてった
それを見詰めるしか出来なかった私は不意をつかれ、理解するまでに時間が掛かる



『なっ…！？』


「うん美味しいよ、これ」



ようやく理解が追い付くが、言葉にならずに口をパクパクさせる
それを見た確信犯の谷山さんはしてやったり顔でくすりと笑うと
「司ちゃん顔真っ赤っか〜」と一言

何なのこの人、なんでサラッとそう言う事できちゃうのかな？うん？？




「ちょっと〜俺らが見てないからってイチャつかないで貰えます〜？」


「えっ何、姉やんと谷山さんやっとくっついたの？
いいぞもっとやれー」


『待って……今はホント勘弁して下s




ニヤニヤしながらこっち見んな！！』

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