271話 ページ30
‐
私が(勝手に)満足して手を離す頃には紀章さんの髪は見事にボッサボサになっていた
それをフルフルと犬のように首を振ると少し収まって片目が隠れるような形になれば
彼は此方を真っ直ぐ見据えてからニヤリと口角を上げる
「やったなー?」
『うわぁっ』
嬉々とした声を上げて「お返しだ!」と言わんばかりに手を伸ばしてくる
あっと言う間に今度は私がやられる側へと早変わりである
でもそれが偉いサマになってしまってるのが凄く……ね!ね!!
何か悔しいので口には出さないが心の中では悪態を付かさせて頂こう
この!色気増し増し!!成人め!!!
…まぁ、私も成人と言うツッコミは置いとくとしてもアレですよ
朝から視覚的にえr……アダルティ
アダルティ!
しばらくワシャワシャとされるがままで居たが
途中からピタリと止むと
「う〜〜ん」と考え込むような声が聞こえてくる
髪が目に入るのと朝から刺激の強いこの方を見て心臓持つ気がしない上に怖くて
ひたすら目を瞑っていた私はその声で目を開けると
紀章さんにやり返され、顔に少し掛かる髪の毛の隙間から
彼の細い目から覗く真っ直ぐで綺麗な瞳と視線が交わる
何これこっぱずかしい。
なんてぼんやり考えているとコンコンコンと控えめなノックが部屋に響く
__マジで!?
てっきり私と紀章さんのみだと思っていた私は扉の方へと振り返るとぐらりと傾く視線
優しく掴まれている腕、そのまま引っ張られその方向に倒れ込む体
痛みの代わりに違うモノにぶつかって止まる
『……??????』
視界一杯に広がる見覚えのある絵柄と一定のリズムでドクドクと鼓膜を揺らす鼓動に
服越しに伝わる暖かさと逞しい胸板に
香水らしき匂いがふわっと香る
完全に止まった私の体を2本の腕がホールドすると
視界は狭まって同時に扉が開いたような音が聞こえてくる
「紀章さん柏村君を起こ…………何で”俺の!”みたいな感じで抱き抱えてんすか」
「えー、だって現に俺の司ちゃんだし?
やすもっちゃんに見せたくなーい」
「……俺なんで朝っぱらから惚気られてんだ…?
…あ、とりあえず朝飯冷めるので程々でお願いしますね」
「はーい」
ふっしぎそうな安元さんの声とバタンと締まる扉の音が聞こえてくると
私の背中へと回っていた腕の力が抜けて離れていった
256人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
最小幹部 - shinox2さん» やったー!((谷山さんはそう言うカッコいい言葉をサラッと言うイメージがあったのでぶちこんでみました! (2020年1月27日 3時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 「つーかそれは俺が決めるから取り敢えず話せ」刺さる。言われたい(///∇///) (2020年1月26日 23時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - shinox2さん» わかります(笑)私も朴さんが結婚と言うのには「朴さん結婚するだ〜おめでとうございます!」みたいな感じだったんですけど、たっつんさんの時は「え、嘘マジで?ホントに!?(スクショパシャァァ)」って何か焦りました(笑) (2020年1月22日 21時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 朴さんの結婚は『あら〜姉さんおめでとう(^-^)』ぐらいだったのが、達の結婚は「!Σ( ̄□ ̄;)うぇっ!?は?まじで!?」でした。だいぶ絶叫して荒ぶりました(笑) (2020年1月22日 21時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - ころころさん» わかりみが深い……(精一杯の感想) (2020年1月19日 22時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ