新人声優と最推しさんの恋愛事情 3

266話 ページ25

襖が閉まって店員さんが居なくなり改めて自分がやらかしたのと
部屋に沈黙が流れるのと同時に
3人からの視線を感じて
さっき何とか堪えた溜め息を一気に吐き出し

まだ少し残っていた酒を一気に煽って流し込む

すっかり空になったコップの底を見詰めながら
かなり嫌だったがしゃーなしコップを机に置いた



だってしょうがないじゃん？司ちゃんナッツ系好きで大体いつも頼んでたし
それにあそこまで言ってやっぱ無しってのも言いづらいし……







「…………癖だって」


「何も言ってないっすよ」


「いや分かるから、俺そう言うの敏感だから分かるからな！
ニヤニヤしてんじゃねぇ！」



いつぞやか司ちゃんに言われたような台詞を吐くが
それでコイツらが懲りる訳もなく変わらずニヤニヤしてくる。
　

なるほどな…こういう感じね、なるほどなるほど
確かに腹立つなこれは

まだしょーたんは隠そうとしているけど
タツとやすもっちゃん、コイツら絶対態と。



「谷山さんマジのベタ惚れじゃないっすか〜」


「彼女想いの溺愛彼氏ですね」


「彼女バカ〜w」


「なんか悪意を感じるからしょーたん以外ギルティ」


「何でですか！褒めてるじゃないですか！」


「そーだそーだw」


「それなら先ずそのニヤニヤすんのやめたまえ！説得力が皆無だ！」



そう言えば途端に真顔になって良い声を出し始める二人
くっそ無駄に良い声させやがって！
これだから声優は！(ブーメラン)


司ちゃんが居たら多分『これがイケボの無駄遣いってやつか…』とか言ってるよ絶対







「……つうか、やすもっちゃん達に俺言ったっけ？」


「何をです？」


「司ちゃんと付き合ってんの」


「…え、あ、今っすか？」



うるせぇな俺も思ったっつーの！

とは思いつつも言葉にはせず、何となく予想は出来てるが
やすもっちゃんの言葉に耳を傾けていると



「お客様、お連れ様がお見えです」



と店員さんの声が聞こえそちらに視線を奪われる。

お連れ様？
…俺、タツ、しょーたん以外に誰か呼んだっけ？


そう思いつつ少し開けられた襖の隙間から「ありがとうございます」と言う感謝を述べる声が聞こえてくる

そのまま下がってく店員さん
そして開けられる襖



『…あ、お疲れ様です』




そこにはどこか気だるそうな司ちゃんが立っていた

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