新人声優と最推しさんの恋愛事情 3

246話 ページ3

「〜〜♪」



昨夜と同じように炬燵の中へ足を潜り込ませる。
少し違うのは今回は特別体が冷えている訳ではないから頬杖ついて彼女の居るキッチンへと視線を飛ばす事ができる事だ。

他から見ればほんの少しの差かもしれないが、実際に座ってる俺には大いに違う
と言うのも外が明るいのも相まってキッチンで手際よく朝食を作る司ちゃんの姿が良く見えるのだ

……本音言うならくっつきたい




Prrrrrr



途端に部屋に響く聞き馴染みのある無機質な電話のコール

ポケットに手を突っ込んでガラケーを取り出すと
心なしか音量が上がったように上がる



「えぇー……」



どう考えても俺のガラケーから聞こえる。
さっきまで鰻上がりだったテンションがスンッと下がるのが良く分かる
気の所為だと思いたい……流石にムリか

自覚はあるが、やっぱ結構すごい顔をしてるらしく此方を見た司ちゃんが苦笑いを溢す

いやだって、彼女が料理作ってるの見たいじゃん
そこに電話に来たらちょっとテンションさがるじゃん、はい俺悪くない〜




「……もしもし？」


「あっ、もしもし紀章さん？
おはようございます、朝早くから済みません」


「あー……うん、大丈夫よ起きてたし
どうかしたの？」


「ちょっと聞きたい事があって
24日ってどこか空いてますかね？」


「24日？……ちょっと待って」



電話越しに「はーい」と軽く返ってくる返事を聞き流しながら立ち上がって
カレンダーのぶら下がる壁に移動する。

24日……火曜日か、火曜は確か



「夕方からで問題無いなら空いてるけど」


「あっ、了解です！
……ところで紀章さん、ご機嫌？だったっぽいですけど何か良い事あったんです？
彼女でも出来ました？」



…なんつー鋭さだマモ、恐ろしいな子役上がり
まぁ、と言うか全く間違っちゃいない、が＿

チラッとキッチンに視線を飛ばすと丁度振り返った司ちゃんと目が合う
彼女も気づいたらしく微笑むようにして口角を上げて小さく首を傾げた
…可愛い



＿＿「まぁ、そんなとこ」



司ちゃんの意見を聞いてない以上言及するのは避けておこう



「ふ〜ん……あっ、俺司ちゃんにも電話しなきゃいけないからそろそろ切るね！」


「司ちゃんに？なら俺が……



……聞けよ！？」



ブツッと音がした辺り時間に余裕が無いのだろう……と思いたい

いや、正直違うと思う。流石の俺でも思う


……腹括るか

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