新人声優と最推しさんの恋愛事情 3

260話 ページ19

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『間に合わんかったか〜…』


「可愛いかったよ、フワフワしてて」


『……忘れろ』



暫くの間悶えるような声をあげていた司ちゃんがポツリと呟いた言葉にそう返せば
いつもより低い声で短く返される


最近ほんとに容赦がなくなったな…
まぁ、そもそもそんな上下関係を気にするようなキャラじゃないけど



「え〜冷た〜い

動画じゃ俺に会いたくなっちゃうから〜って言ってたのに〜」


『……』


「ごめんごめん、俺が悪かったw」


『……このいじめっ子属性め』


「う〜んそれは否定出来ないけど
この場合だと好きな子をいじめたいって言うアレかな」


『小学生か』


「辛辣〜」



「俺泣いちゃう〜」と続ければ『わざとらし〜』と司ちゃんの楽しそうにケラケラと笑う声が聞こえてくる

一度ツボると中々抜けないし笑う時はホント心底楽しそうに笑う彼女に
つられて一緒に笑ってしまうのが最近のお決まりになりつつある



『……ぶっw』


「なになになにw」


『なんかこの振り回されてる感が悔しいw』


「なんでよ！俺悪くないでしょw」





暫く笑ったり喋ったりを繰り返した後『はーっ』と深く息を吐き出す司ちゃん
どうやらやっとツボから抜け出したようだ
前から思ってたけど比較的ツボりやすいしもんぬとつられやすい司ちゃんの二人が一緒に笑いだしたら抜け出せる人早々居ない気がする。




『あ、もうこんな時間か』



そろそろ準備しないとな〜と続ける司ちゃん

時計を見てみれば10時を少し過ぎた辺り

司ちゃんの家は都心から少し離れてて
一番近いスタジオでも少なくとも一時間くらい掛かるから…



「今日はお昼からなの？」


『そうですよ、13時からです』


「また絶妙にやる気が出ない時間帯…」


『そうなんですよ〜
紀章さんは今日は何時からなんです？』


「俺〜？今日はオフ〜」


『あ〜良いな〜〜！
ゆっくり休んでくださーいw』


「はーいw」


『それじゃあ、私はそろそろ準備しなきゃなので切りますね
あんま話してると前紀章さんが言ってたみたいに顔が見たくなっちゃうので』


「頑張ってね〜」


『はーい』



プツッと音が電話が切れると肩から力が抜ける

照れた時とか良く俺の事を狡いと言う彼女だが
俺から言わせれば大概彼女も狡い









『〜♪』



俺の顔は今、熱を帯びてることそして心臓がやけに大きく脈打ってて五月蝿いこと
彼女は知るよしもない

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