新人声優と最推しさんの恋愛事情 3

245話 ページ2

体を回転させ司ちゃんと向き合う形になる。
俺的には驚いた表情の司ちゃんが見れれば上々、と考えていたが

そこまで来ると逆に彼女の手に力が入り俺の鳩尾あたりに頭突きに近い形で顔を埋めた





…さて困った。
イタズラ心が働いたとは言え、少しからかい過ぎたかも知れない。

ギュッと強く握られた手とグイグイと鳩尾を押してくる彼女の頭から
”絶っっっっっっっ対顔は見せない”と言った確固たる意思をビンビンに感じる。
鳩尾がじんわりと痛くなってきた



「司ちゃん」


『……。』


「司ちゃーん？」


『……。』


「ありゃ、拗ねちゃったかな」



試しに声を掛けてみるがうんともすんとも言わない。
これは……うん、ご機嫌ななめ？

だとしたら喚き散らされたりするより数十倍怖いな
いや、喚かれるのも怖いは怖いけど、静かにキレる人に比べればマシ
これ鉄則。



『拗ねてないもん……』



ボソリと今にも消え入りそうな声で内容はかなり可愛いのが聞こえた。

ちょっと勘弁して欲しい
もっといじめたくなっちゃうから



「じゃあイヤだった？」



そう投げ掛けてみると声は出さずに今回はフルフルと弱々しく首を横に振るだけ



「ホントに？」



こくりと頷く司ちゃん
それを見て肩から少し力が抜けほっと息を吐き出す

……めっちゃ司ちゃん好きじゃん、俺



「司ちゃん顔、上げて…？」



改めて実感すると、さっきまでのイタズラしたいって気持ちは
あっと言う間に彼女の顔を見たいと言う感情に置き換わって溢れそうだ。

惚れるってコワーイ
でもそれを楽しんでる自分が居るってのもまたどうしようもない事実だ



「顔、見たい……ダメ？」



絡めてる指がピクリと動くのを感じた
それから一瞬だけ力がまた入る



『ずっるい！！何ですかそれ！ホント

ホント……ずるい…っ』



ガバッと勢い良く顔を上げたかと思えば徐々にまた勢いを失っていく



「司ちゃん顔真っ」


『分かってます！言わないで下さい！もう緊張やらなんやらで
心臓バックバクなんですから！！
死にますよ！？これ以上やられたら私死にますからね！？』


「うん……俺も」


『〜〜っ！？！？』






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