238話 ページ44
ガタンゴトッと鈍い音をたてて缶が落ちてくる
取り出す為に手を伸ばして缶を手に取る。缶から伝わってくる暖かさに少しホッとする
『はぁ〜〜〜〜』
するのも束の間、さっきの出来事を思い出して自動販売機の前に座り込む。
普段なら少し躊躇する所謂ヤンキー座りと言うやつだが
もう少しで日付が変わると言う時間帯に此処に居るのは、見事に私だけである。
まぁ、だから問題が無い訳ではないのだが今はそれよりも
__負けた…負けた……推しと恋人って言うダブルフィルターに負けた
こっちの方が個人的に問題だよ、うん。ちげぇねぇ
谷山さんの゛俺が行くから゛発言に不意を付かれテンパっていたのを言い訳にするのもアレではあるが「…ダメ?」と言う谷山さんの返答に困っていたら、あれよあれよと
このザマである。
狡い、狡いぞ大人気声優
なんかもうここまで来ると負けた感じで悔しくて唇を噛むが
どのみち谷山さんが来るのは変わらないので止めた。後地味に痛い
よし、そろそろ行こうかな、と今しがた買って温かい缶珈琲を二つポケットに突っ込んで
ついでにと手も滑り込ませる。
『うっっっっっっっっわ……』
自動ドアが開くにつれて冷たい風が吹き込んで来る。
あ〜…もっと着込めば良かった
寒いんだろうとは思ってたけどまさか外出る前に後悔するとはな〜
なんせ普段こんな時間に外出ないし!引きこもってるし!布団に!つか寝てるかな!!
『ぁぁぁあああああ、寒い寒い寒い寒い!』
体を縮こませポケットの中で缶珈琲を握りしめ更に足踏み
ヤバイ、都会の冬舐めてた。高知よりかはまだマシだけどやっぱ寒い、もう寒い
都会でこれなら北海道とかもう想像したくないね!
バタンッと言うそれなりに大きな音が人気の無い辺りに良く響いた。
小さく足踏みしていたのをやめ、音のした方を見回す。
あった。
暗闇の中で光るライト、見た感じタクシーと人影が2つ
……2つ?
1つのどう考えても此方に走ってきてるのは谷山さんだとしてももう1つは…
…あれ、なんか止まる気配無くね
『え、ちょっと待っ…ぐふっ』
なんて考えていたのも前から来た衝撃と自分の口から漏れた声に掻き消された
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最小幹部 - romishinlikeさん» コメントありがとうございます!自己満な小説ですがそう言って頂けるとはすごく嬉しいです! (2019年11月23日 8時) (レス) id: 4419a0d4d5 (このIDを非表示/違反報告)
romishinlike(プロフ) - 初めまして、こんばんは。更新お疲れ様です。いつも楽しく読ませて頂いてます。恋人になった2人の話がとても楽しみです。 (2019年11月22日 22時) (レス) id: a4ecf0990e (このIDを非表示/違反報告)
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