五話 ページ7
「そう。Aちゃんのご両親が無くなってすぐ、初めてAちゃんが自ら死を選んでここに運ばれてから、ずっと定期的なカウンセリングをしてるの」
「今まで………どれくらい。Aちゃんはここに運ばれたんですか」
「…とても数え切れないけど、さっきカルテを見たら緊急受診は46回目だったわ」
それじゃあ、中3になるまでは月一のペースで……。
「Aちゃんね。絶対に血が出るような死に方はしないの。ご両親の死がトラウマだから。多いのは睡眠薬の大量摂取と入水」
「え、今回のは……？」
「初めてよ、こんなの。でもひとつだけ心当たりがある」
不思議に思って首を傾げると、先生は不安そうな顔のまま言った。
「あなたよ。Aちゃん、昔は赤が嫌いだったの。血の色だから。でもこの前言っていたわ。今は好きな色だって。大好きな人の色だから」
「！」
「きっと最後に、赤く染まりたかったのね」
「でも、Aちゃんは………俺のこと好きじゃない」
「なんで？……付き合ってるんでしょう？」
「彼女は……俺を生きる理由だと言ってくれた。けど、唐突に死にたいって溢して……最後に電話で、『さようなら、大好きだった人』って。……過去形で。………正直俺、ここにいていいのかわかんない」
「うんうん」
「Aちゃんが目覚めたとき、俺なんか見たくないんじゃないかって。……思う」
「ううん、それは違うと思う。……Aちゃんは、人に愛された経験が極端に乏しいからね…不安になっちゃっただけよ。ねぇ、少年。あなたは、死にたがりのAちゃんは嫌い？」
「死なれたら嫌…とは思う、けど。死にたがろうと生きたがろうと、Aちゃんなら好き」
「うん。じゃあ大丈夫。あなたが捨てさえしなければ、Aちゃんが死ぬことはないわ。人間……愛してくれる人のもとに、帰りたくなるもの。信じて待ちなさい、少年。あなたの愛する人を」
こくん、と頷くと、先生は満足げに出ていった。
もう、閉院だ。……俺も行かなきゃ。
「Aちゃん……早く目覚めて」
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さか - 絵もほんと上手で神だし、お話も凄く素敵です。更新待ってます！ (2021年4月25日 7時) (
レス) id: 084fbf2f8d (このIDを非表示/違反報告)
勾玉*(プロフ) - 夢主ちゃん私の好みドストライクなんですが……。続き、楽しみにしてます！！頑張ってください！ (2020年6月8日 1時) (レス) id: 44b17a4264 (このIDを非表示/違反報告)
キヤナ - このシリーズ大好きです。面更新がんばってください｡楽しみにしています！ (2019年10月20日 21時) (レス) id: 256d9e1299 (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 今日初めてこの小説に出会ったのですが、一目惚れして一気読みしてしまいました！夢主ちゃんが可愛すぎるし、カルマくんもかっこよすぎる、、、作者様のペースで更新頑張ってください(o^^o)これからも楽しみにしてます。 (2019年6月30日 0時) (レス) id: 44840d8a16 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - 続編おめでとうございますこれからも頑張ってください (2019年5月29日 17時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あうおん | 作成日時：2019年5月26日 22時
