十一話 ページ13
退院して学校へ行くと、皆が心配してくれていたようで、沢山声をかけられた。
ただ、カルマくんは、なぜ私が学校を休んでいるのかを伝えていなかったらしく、理由もたくさん聞かれた。
みんなは優しいから、きっと心を痛めてしまうから、少し具合が悪くて、と嘘をついたけれど、二週間近くも休んでいたのだからきっとただ事ではない事は察せられていたと思う。
カルマくんは、常に私の体調を気遣ってくれた。
リハビリはしたけれど、ずっと眠っていたから筋力はかなり落ちたし、食べる量も減った。
「Aちゃんさー、俺がもし死んだら、どーする？」
「迷わず後を追いますね、多分」
「でも俺は追いかけてほしくないから、頑張って生きてくからさ。Aちゃんも生きててね」
カルマくんが、遠くを見ていった。
その横顔がどこか寂しそうで。
ああ、私は、この人を。
こんなに不安にさせちゃったんだ。
「息の仕方がわからなくなったら、俺が教えてあげるから。歩き方を忘れたら、俺がおぶってあげるから。……だから、簡単に生を諦めないで」
「……向こうは、心地よかったんです」
「え？」
「父さんも母さんも、師範もいて。ふわふわした温かい世界で。でも、カルマくんはいなかった。……それに、彼らは言った。カルマくんの元に帰りなさい、と」
「…うん」
「だから、カルマくんがこっちにいる間は、私も君のそばにいます。それこそ、…君が向こうへ行ってしまったらどうなるかわかりませんけど、君は頑張って生きるみたいですから。私も頑張って生きてみます」
「そっか。…ありがと」
そう言ってカルマくんはやっとこっちを向いた。
深い蜂蜜色の瞳が、私を捉えた。
あ、キス、される。
「ん………」
目を瞑ると、唇に柔らかい感触。
なんだ、向こうの世界より、よっぽど心地良いじゃないか。
私の、一番幸せな瞬間。
クスッと笑みをこぼすと、カルマくんは私の顔をのぞき込んだ。
「なーに」
「ううん。私ってこんなに、幸せだったんだなって。今更、気付いたみたいです。馬鹿ですよね、ふふっ」
「それでもいいよ。…バカでもわかるくらいいっぱい愛してあげるから」
「私に、…応えきれるでしょうか」
「全部返さなくてもいいよ。俺が勝手に愛するから。Aちゃんはそばにいてくれるだけで十分」
「そんなの、カルマくんに甘えすぎです」
「いいのいいの。男は甘えてもらいたい生きもんなの」
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さか - 絵もほんと上手で神だし、お話も凄く素敵です。更新待ってます！ (2021年4月25日 7時) (
レス) id: 084fbf2f8d (このIDを非表示/違反報告)
勾玉*(プロフ) - 夢主ちゃん私の好みドストライクなんですが……。続き、楽しみにしてます！！頑張ってください！ (2020年6月8日 1時) (レス) id: 44b17a4264 (このIDを非表示/違反報告)
キヤナ - このシリーズ大好きです。面更新がんばってください｡楽しみにしています！ (2019年10月20日 21時) (レス) id: 256d9e1299 (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 今日初めてこの小説に出会ったのですが、一目惚れして一気読みしてしまいました！夢主ちゃんが可愛すぎるし、カルマくんもかっこよすぎる、、、作者様のペースで更新頑張ってください(o^^o)これからも楽しみにしてます。 (2019年6月30日 0時) (レス) id: 44840d8a16 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - 続編おめでとうございますこれからも頑張ってください (2019年5月29日 17時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あうおん | 作成日時：2019年5月26日 22時
