二章一話 ページ9
「さて、始めましょうか」
「「…何を？」」
突然増えたタコの言葉に、みんながツッコむ。
「中間テストが迫ってきました」
「そうそう、そんなわけでこの時間は」
「高速強化テスト勉強を行います」
「先生の分身がマンツーマンで」
「それぞれの苦手科目を徹底して復習します」
正直言って面倒くさい。
寺坂くんも同じようでタコに文句を言う。
「くだらね…ご丁寧に教科別ハチマキとか」
教科別…。
私の前にはあの有名な模様のハチマキをつけた先生が。
「なんで俺だけNARUTOなんだよ！！」
「私もです。なぜ寺坂くんなどと同じに…」
私は寺坂くんを睨みつける。
「二人は特別コースです。寺坂くんは苦手科目が複数ありますからねぇ」
チッ、と寺坂くんが舌打ちする。
「黒瀬さんは苦手科目がわからないのでこれから調査するつもりです」
ヌルフフフと笑うタコに、カルマくんが横から口を出す。
「水曜六時間目のテストではかってるんじゃないの？学力」
「はい。どのテストも満点だったので、少しずつレベルをあげていたのですが…なかなかボロを出しませんでしてねぇ」
渋い顔でタコが言う。
満点でも当たり前だ。私は“努力済み”の人間だから。
ただ才能に頼るカルマくんや生徒会長とは違う。そりゃ彼らだって相当努力しているだろう。しかしまだ足りない。
現に自分より才能に恵まれない私の前に敗北している。
━━━━血の滲むような努力は
いつか才能を超える━━━
私の大好きだった、今は亡き父さんの言葉。
「……私は従います、その言葉に」
ポツリと呟いたその言葉は、タコにかき消された。
「黒瀬さん、どうしました？先生特製の超難問を前に、手も足も出なくなりましたか？ヌルフフフ」
「何をおっしゃっているんでしょう。手も足も出ないとはこういうことを言うのでしょうか？」
すでに全欄埋め済みの解答用紙を渡す。
「ニュやッ。満点ですねぇ。黒瀬さんの学力は本当に底なしです」
自分の自信作の問題を突破されたにもかかわず嬉しそうなタコは、教師の理想像だと思う。
「こんなふうになりたかったんでしょうか」
今度のつぶやきはタコの耳にしっかり届いたらしい。
「こんなふう、とは？」
「いえ、何でもありません。こちらの話です」
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あうおん(プロフ) - 満月狼さん» コメントありがとうございます。何度も読み返してくださる方がいらっしゃるなんて想像もしていなかったので本当に本当に嬉しいです。 (2019年3月27日 21時) (
レス) id: f8e656bed4 (このIDを非表示/違反報告)
満月狼 - 何度読み返しても飽きることなく読み続けられます。新しいパート6の更新も楽しみにしてます！ (2019年3月27日 14時) (レス) id: b3eceac4b8 (このIDを非表示/違反報告)
あうおん(プロフ) - シリーズがこの先続くことを考えると、題名が尽きると思ったので全部可愛らしい彼女はで統一します。画像の張替えは面倒なので、昔の名残ということで…w (2018年7月2日 22時) (レス) id: 86d7cf8c9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あうおん | 作成日時：2016年7月27日 11時
