74. ページ24
貴方side
これ以上走ると肺がちぎれてしまいそうと思っていた時だった。
「大吾くんッ！！」
思わず私は悲鳴のような声を上げてしまった。
その声に大吾くんもコジマくんも立ち止まる。
西「どうしたん？」
小「あっ、あっ、大吾くん…」
西「小島までなに？」
「足……」
大吾くんは私の震えた声を聞いて、自分の足を見た。
西「あっ…」
大吾くんの足が消えかけていたのだ。
「ね、ねぇ、どうしよ、ねぇ…」
西「ふは…」
大吾くんはこの場に似合わないような声で笑った。
西「そうか、禁忌犯したらこんな風に消えんねや。」
「ねぇ、大吾くんッ！」
私の悲痛な叫びも叶わず、大吾くんの足は徐々に消えていく。
「い、今すぐ、その儀式はできないの！？」
西「…できひんかなぁ、こんな体じゃ。」
なんて自傷的に笑う大吾くん。
「ねぇ、嫌だッ、行かないでッ…」
頬を何かが伝って落ちていく。
それが涙だと気づくのにそう時間はかからなかった。
徐々に消えていく大吾くんの体。
「大吾くんっ!!」
あぁ、どうしてこんなことになったんだろう。
「大吾くんってばッ!!行かないでッ!!」
違う、こんなはずじゃなかった。
西「Aちゃん、ごめんな。」
大吾くんのそんな顔見たくない。
謝ってほしいんじゃない。
私は、大吾くんと一緒にいられればそれでよかったのに…
「大吾くんッ…」
私は膝から泣き崩れた。
西「Aちゃん。」
ふわっとした大吾くんの声が頭上をかけていく。
西「俺、Aちゃんに会えて、よかった。」
やめて、永遠の別れみたいじゃない。
西「俺に恋を教えてくれて、ありがとな…」
私こそ、大吾くんに恋を教えてもらったのだ。
大吾くんの白くてきれいな手が私の頭に乗せられる。
その手ももう消えかけていた。
西「バイバイ、Aちゃん。」
大吾くんは一滴の涙だけを残して、赤い月が煌めく夜空に消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 351人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山田もも(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！続きのほうも検討中です！ただ、恋愛系を書くのはものすごく苦手なので、できればアドバイスください！笑 (2021年4月10日 19時) (
レス) id: 011bbc0e31 (このIDを非表示/違反報告)
みー - 初めてコメントさせていただきます。このお話が好きで何度も読んでいます。最後の終わり方が素敵で読むたび感動します...！再会した2人がどうなったのか凄く気になるので続きが見れたら嬉しいです...！ (2021年4月10日 13時) (レス) id: e64c29ca68 (このIDを非表示/違反報告)
山田もも(プロフ) - いちご好きさん» ありがとうございます！覚えていてくれたんですか…！？嬉しい限りです！分かりました！ (2020年8月25日 22時) (レス) id: 383519ad9d (このIDを非表示/違反報告)
いちご好き - 読ませていただいたのはだいぶ前なのですが、とても良いお話だったので記憶に残っていました！ぜひ続編書いていただけると嬉しいです！ (2020年8月25日 21時) (レス) id: 998e67e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
山田もも(プロフ) - 恋物語さん» 二回も読んでくださりありがとうございます！名作だなんて…嬉しいです！本当にありがとうございます！ぜひ読んでみてください！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 5f10803762 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山田もも | 作成日時：2020年4月14日 21時
