嘘の真実neo (ページ5)

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ドアを開けた先は、あの白い部屋からしたら考えられないほど広かった。
貴族の家のような豪勢な飾りはどこか不気味な雰囲気を醸し出している。

有岡「誰か住んでるのかな？」

有岡の疑問もあながち間違いじゃないだろう。
廃墟という雰囲気ではない。
綺麗、とまではいかなくとも、誰かが住んでいるといっても過言ではないほどである。

有岡の言葉には誰も答えることなく、一行は階段を上り二階へ向かった。
無駄に豪華でレッドカーペットなるものが敷いてあった階段を登り切れば、左側にシンプルだがカラ
フルな扉が9つついていた。

髙木「マジで一人一部屋じゃん。」
薮「これって、どこでもいいんですかね？」
伊野尾「いいんじゃないの。指定なんてなかったし。」

皆が立ち往生し、どこに入ろうか迷う中、率先して動いたのは山田だった。
山田は、階段から一番近い赤い扉の部屋を選んだ。

薮「ちょっ！勝手に！」
山田「誰も選ぼうとしてなかったでしょ？俺、疲れてるし、早く休みたいから。」
薮「でも、だからって！」
山田「なに？ここがよかった？なら、その隣でもいいけど。」
薮「そういうわけじゃ…！」

薮との受け答えにさらに疲れた山田は、制止の声も聞かずに部屋へと入っていった。
赤い扉が閉まった音とともに、皆―正確には薮と知念を除く6人が動き出した。

薮「そんな勝手に…！」

薮の言葉など聞く人は誰もおらず、結局廊下に2人が残された。
扉も黄緑っぽい色の扉と薄ピンクの扉のみが残された。

薮「……君は、どっちがいいとかある？」

恐怖だろうか、ずっと固まったままの知念に薮が声をかける。
その声にすらビクッとした知念は、下を向いたままで小さい声を絞り出した。

知念「どっちでも、大丈夫、です…」

その言葉を何とか聞き取った薮は、薄ピンクの扉を指さした。

薮「君は、こっちの部屋で。俺が黄緑の部屋に行くね。」

知念はこれまた小さくうなずくとようやく足を進めた。

薮「俺、薮宏太。君の名前はなんだったっけ？」
知念「…知念、侑李、です…」
薮「知念くんね。俺、警察官なんだ。何かあったら俺の部屋においで？」
知念「…はい。」

薮は満足げにうなずくと、部屋の中へと入っていった。