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促されるまま、瞳を閉じた。

にしても、どうやって祓ってるんだろ?
昔、陰陽師の息子だとか言う同級生にも祓えなかった。

…あ、それはインチキだったから関係ないか。

そんなことを考え初めて少しして、鋭い風が私の頬を掠めた。
ずっと意識しないよう頑張っていた童歌は完全に消え去り、周りの喧騒が耳に戻ってきた。

「ん、もういいよ」

目を開けると、視界の端にいつもいる霊はいなかった。

「ありがとうございます……」

私はしどろもどろになりながらも頭を下げる。
少しして「お礼なんていいのに」と笑う声が聞こえ、頭をあげた。

あ、そういえば。

「あ、あの!どうしても聞きたいことがあるんですけど!」

久しぶりにあげた大声。とは言っても、いつも蚊が鳴いてるみたいな声と言われる私の精一杯の声だから、大きさはたかが知れているが。

「五条さんは何者なんでしょうか!?」

私の声にキョトンとして、こちらを見る五条さん。
しかし、すぐにお腹を抱えて笑い出し、

「そうだよね。普通気になるよね」

と言う。そして、私との距離をグッと縮め、

「────でも、秘密」

とさっきまでとは打って変わって、艶っぽく笑ってみせた。私の唇に人差し指を当てながら。

「秘密が多い方が、こういうのはきっと楽しいよ」

「…?」

こういうのって、どういうの?

悩んでみたものの分からなくて、首をかしげる私。
そんな私を見て五条さんはまた笑う。

「あー、いや、何でもないよ。忘れて」

一人笑う五条さんと置いてけぼりの私。
それでも、ほんのちょっぴり楽しいと思った私はおかしいのでしょうか?


───そこから、「すぐそこだから別にいいです」と言ったものの、駅のホームまで送られた。

とは言っても、時間があったので、お互い自己紹介したり、お礼にと私が缶コーヒーを奢ったりした。

そして、別れ際。

「じゃあね、A」

なんて言われたもんだから、ドキドキせざる終えなかった。

缶コーヒー→←・



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作者名:せみ。 | 作成日時:2021年2月7日 20時

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