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翌日。
(エイちゃん、どこにいるんだろう)
朝から大学中探し回ったけれど
中々(というか全然)、見つからず。
講義を挟んでお昼時になり
半ば諦めながら一人、
食堂で昼食をとっていると。
「やっほー。 昨日振り」
そんなふうに、
探していた人物はごく自然に現れた。
今まで見つからなかったのが嘘みたいに
至極当然といった様子で私の向かいに座る。
「あ！ 今まで何処にいたんですか!?」
思わず大きな声が出てしまい、
慌てて口を押さえる。
「ずっと、キャンパスのど真ん中にいたけど」
彼はご飯を口に運びながら答えた。
キャンパスのど真ん中、というと。
「何かそういえばA、
ずっと行ったり来たりしてたよね。
あれ、何してたの？」
「……」
私はそこを何度も行き来して
大学中を走り回っていたのに。
まったく気が付かなかった。
(……というか今、
さらっと名前を─────)
名前、覚えていてくれたんだ。
「まさか俺のこと探してたとか？」
エイジが笑いを含んで言った。
「そうですよ！
気付いてたなら、
声掛けてくれればよかったのに」
文句を垂れながら
サンドイッチを一口頬張った。
「何で俺のこと探してたの？
……あ、会いたくなっちゃった？」
にやりと微笑まれて
「そんなんじゃないですよ」
と咄嗟に返すけれど、
その笑みが心臓を煩くさせていることは
認めたくなかった。
自意識過剰、と小さく付け足すと
「うるせー、阿呆」
と返ってくる。
(……これこそ小学生みたい)
そう、思わず笑ってしまった。
「これ」
鞄の中から昨日拾ったストラップを取り出すと
目の前の彼に差し出した。
「あ、これ俺のじゃん！
何でAが持ってんの？」
エイジが受け取りながら訊いてくる。
「昨日、
パスケースを届けてくれたときに
落としたんだと思いますよ」
答えると、彼は自身の鞄に
そのストラップをつけながら
「ありがとー」
と意外にも素直に礼を言ってきた。
不意を突かれて黙り込む。
昨日の彼のように何か意地悪を
言ってやろうと思ってたのに。
「う、うん。 どういたしまして」
私も思わず素直に頷いてしまった。
「あ！ こんなとこにいた！」
そんな声が背後から聞こえて
勢いよく振り返ると、
「探したよ、エイちゃん」
そこにはお盆を持って
こちらに歩いてくる三人の男の人たち。
「うわ、見つかった」
そんなエイジの呟きを耳に、
私は暫く信じられない気持ちで
そんな彼らを見つめていた。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年7月26日 20時
