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そらのことが好き。 でも、エイジのことも大切。
後者の思いがいつか昇華したとき、板挟みにならないためにすることと言えば一つだけ。
「私……そらに告白したい」
私の言葉にエイジは余程驚いたらしく目を見張った。
彼の言いたいことは分かっている。
1ミリも望みなんてない告白に意味はあるのか？ってことだ。
「マジ？」
「叶わなくて良い。 伝えたいだけなの」
付き合うための過程じゃない。
想いに区切りをつけるための手段として。
すっぱりフラれて諦めるため、良い思い出として扱うため。
私が私のまっさらな気持ちに素直になるため。
「でもそれは、私のわがまま」
私が伝えたいからって伝えて一人吹っ切ったって、それでは自己満足に過ぎない。
「そらを困らせるだけだよね……」
そう言い終えたとき、注文したパンケーキが運ばれてきた。
ふわふわの生地に山盛りのホイップクリーム、とろけるような蜂蜜、添えられた色とりどりのフルーツ。
香ばしいバターの香りが漂ってくるけれど、フォークとナイフに伸ばす手は重い。
「……あのさ」
見兼ねたようにエイジが口を開いた。
♢
『私……そらに告白したい』
まさかAがそんなことを言うとは思わなかった。
客観的意見として、Aとそらが結ばれる未来は正直見えなくて、本人もきっとそれを悟っているだろうと思っていたから余計驚いた。
でもよくよく聞いてみれば、諦めをつけるための告白らしい。
彼女がそれで辛い思いを捨て去れるのなら、暗い顔をしなくなるのなら、それに越したことはない。
しかし二の足を踏んでいるのは確かなようで「告白“する”」とは言い切らなかった。
正直、迷った。
後押しするのが正解なのか、止めるのが正解なのか。
告白しても傷つくことは避けられないだろう。
それでも未練を断つためにその傷を受け入れるべきなのか。
それとも、分かりきった傷をあえて負いに行く必要はない、と彼女をその傷から守るべきなのか。
でも、俺も伊達に彼女の親友でい続けたわけじゃない。
こういうときに尊重すべきなのはセオリーでも一般論でもなく、Aがどうしたいかなんだ。
俺は、俯く彼女を見つめて言った。
「……あのさ」
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2020年2月15日 8時
