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#04 ページ4

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陸くんが帰って、再び一人になった教室。

何だか熱い頬といつもより速い心音を

落ち着かせるように息をついた。

そして、しゃがみ込む。



(……陸くん)

心が、満たされる。

両手で握り締めたスマホ画面には

LINEが開かれている。

“新しい友だち”の欄に表示された、

彼の名前を見ると、嬉しくて嬉しくて。



立ち上がって、

鞄を肩に掛けると教室を後にする。

あくまでいつも通りに歩くけれど

本当はスキップしたいほどだった。



*



陸くん。

……心の中で反芻すると、

あの柔らかい笑顔が蘇った。

そのたびに、頬が緩んでしまう。

同時に頬が火照って自分でも戸惑っていた。



陸くんは、こんな私を受け入れてくれた。

友だちになろうって、言ってくれた。

……こんなの、初めて。

もっと、話したい。

もっと、知りたい。

上手く紡げなくても

それでも私、キミとなら話せる。



*



喜悦も幸福感も、

それは、決して恋愛感情ではないと

自分に言い聞かせた。

私は、決して陸くんと

“友だち以上”になる訳にいかない。

それは初めからわかっていたことだ。

相手がYouTuberだから、とか

こんな私とは不釣り合いだから、とか

勿論それらもあるかもしれない。

だけどそれ以上に、

もっと大きな理由がある。



ねぇ、聞いて!
今日 陸くんと目が合ったよ〜>




そう親友からLINEが来た。

“大きな理由”とは、親友のことだ。

彼女は以前から陸くんのことが好き。

そのことは、

親友である私だけに教えてくれた。

だからこそ、裏切る訳にはいかない。

彼女は、私の恩人でもあるから……。

ほんと!?
よかったね!!


いつもなら、素直に喜べるのに何でかな……。

今日はどうしても、

胸に何かがつかえて上手く言葉に出来ない。

なんて、考えていると。



陸くんやっほー!
さっそくLINEしてみたよー




陸くんからそんなメッセージが来て、

どくん、と心臓が跳ねた。

突然でびっくりしたからだ……。

そう、きっと、そう。



「なんて、返事しよう」

同級生の男子とLINEなんて

したことがないから分からない。

それに加え、先ほどの、

明日香とのやり取りも相俟って

返信を迷ってしまう。

「よし……」

結局、10分くらい、

私の指はキーボードの上を彷徨っていた。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年7月1日 18時

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