【すしりく】青春、キミ色に染まる。 (ページ19)

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#19 ページ19

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私の中で終わった、儚い小さな恋は

泡のように消えてなくなりはしなかった。

抱いた想いや初めて知った感情を

忘れよう、消してしまおう、と

すればするほど色濃く浮き上がるから。

廊下ですれ違うときも

教室で目が合うときも

何ともない振りをしながら

本当はずっと、心の中で思ってた。

“こっち向いて”

あの子じゃなくて……って

馬鹿な期待をしては

報われないことに何度も心を痛めた。

勝手に突き放して、

勝手に傷つくなんて、

本当にこの上なく身勝手だ。

*

今日も一人分のお弁当を作って

一人で学校へ行き、昼も一人で食べた。

陸くんと明日香は

二人でいる時間が増えたような気がする。

でももう、

それも私には関係のないこと─────。

*

一人でお弁当を食べていると

ふと、中学時代が蘇った。

彼女と出逢ったのは

中学一年生の終わり頃だったかな。

当時から人付き合いが苦手だった私は

中学に入ってからも中々友だちが出来なかった。

既にそのときから、男子のことは怖くて苦手で

だけど彼らはそんな私の気持ちを

知る由もないので、話しかけてきたり

告白されたり、ということも少なくはなかった。

『Aって、ムカつくね』

そんな女子の一言から私への嫌がらせが始まった。

『ぶりっこだよねー』

『大人しい顔して
男子に媚売りまくってんじゃねーよ』

『うちらが話し掛けなくても
男子が構ってくれるでしょ？』

それは日を追うごとにエスカレートして

相談できる相手も頼る相手もいない私は

徐々に孤立していった。

─────そんなとき。

『あんたら、馬鹿じゃないの？』

そんなふうにただ一人、

庇ってくれたのが親友の明日香だったんだ。

『それって、ただの嫉妬でしょ？
そういうこと言ってるときの顔、
一回鏡で見てみるといいよ』

わざと私に聞こえるように、

陰口を言っていた女子たちの表情が固まる。

『ていうか、くだらない。
あんたらを男子が構うわけないじゃん。
Aちゃんに八つ当たりするのやめなよ』

それを期に、今までのが嘘みたいに

ぴたりと嫌がらせは止んだ。

(……だから明日香は、
私にとって恩人でもあるんだ)

どん底から救ってくれたのは

紛れもなく彼女─────だから、

私が彼女を、裏切れるわけがない……。

私が彼女を、

どん底に突き落とせるわけがない。

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